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日本電産・永守氏と塩野義・手代木氏の金言

経営のプロフェッショナルとは何か

2016年1月14日(木)

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 日経ビジネス1月11日号では、新春の大型特集として「日本が危ない 先送り経営と決別せよ」を掲載した。記者も特集班の一員として取材・執筆に関わったが、特に印象に残ったのが直接インタビューする機会のあった日本電産の永守重信会長兼社長と、塩野義製薬の手代木功社長だ。片や一代で巨大モーター帝国を作り上げた叩き上げの創業者、片や創業家からバトンを受け継ぎ企業価値を高めたサラリーマン経営者。

 ただ、人物像や経歴は全く異なるものの、記者が共通して強く感じたのは経営に対する深い洞察と強烈な意志だった。本記事では特集には盛り込めなかったインタビューの言葉から、主に3つのテーマに沿って2人の経営哲学や実践の一端を紹介する。

①プロパーの底力こそ成長の源泉

 経営トップも含め、日本の産業界でも人材の流動性が高まってきた。積極的なM&A(合併・買収)や外部人材の登用で知られる日本電産だが、永守氏の言葉から見えてきたのはプロパーの実力や意欲を高めることの重要性だ。

永守氏:「外部から請負みたいな経営者がやってきて、短期的に会社の業績を上げるのははっきり言って簡単ですわ。私なんか今まで倒産間際の会社をたくさん買ってきましたわね。最初の再建はこちらが2~3年かけてきちんといい会社にして、あとは君らがやってくれよとプロパーに経営を任せる。すると一時的にまた業績が下がるわけです。そこで、下がったところからもう1回持ち上げるのが本当の経営力で、僕はそれを買収先のプロパーにも伝えている。それはある程度長い時間を要してやらないと、内部で本当の経営力を持った人材は育成できないです」

 永守氏は創業以来、約50社の企業買収を通じて日本電産を世界屈指のモーター会社に成長させた。買収先の企業に徹底してコスト削減や効率化の精神を叩き込み、業績を急回復させてきた。ただ、永守氏には短期的なリストラや投資抑制で利益を上げるのではなく、買収先の経営幹部や従業員が継続的に企業価値を高めるべきとの信念がある。

永守 重信(ながもり・しげのぶ)氏
日本電産会長兼社長。1944年、京都府生まれ。職業訓練大学校卒業後、1973年に同社を創業。精密小型モーターの世界的な大手に成長させるとともに、「情熱・熱意・執念の経営」を掲げるハードワークでも知られる(撮影:菅野勝男)

永守氏:「小部(博志副会長)は番頭なんです。番頭は表に出たらあかん。僕は何回もあいつを試してきたわけや。お前は次に社長をやりたいかと。彼は『いや、絶対やらん。自分は番頭や』と答えてきた。だから後ろから刺されることなく、安心していられる。過去には何回もそれは激しくけんかをして、もうお前は出ていけと言ったことが何回も何回もあります。けど、実際に辞められるとこっちが困るな」

 日本電産は1973年に永守氏ら4人の若者が創業したが、そのメンバーの1人が小部博志副会長だ。永守氏の経営を最も近くで見続け、まさに「番頭」として同社の成長を支えてきた。そして永守氏は、「番頭と経営トップは役割と求められるものが違う。ナンバー2に裏切られてダメになっていく会社はいくらでもある」と話し、名番頭の存在の重要性を強調する。

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「日本電産・永守氏と塩野義・手代木氏の金言」の著者

河野 祥平

河野 祥平(こうの・しょうへい)

日経ビジネス編集記者

2006年日本経済新聞社入社。社会部、消費産業部などで警視庁、ネット業界などを担当。直近では企業報道部でビール・清涼飲料業界を取材。2015年4月から日経ビジネス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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