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迷走する「民泊」、解禁ではなく規制強化?

2016年1月29日(金)

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 伊豆沖を望む抜群のオーシャンビュー。広大な敷地に佇むゲストハウスは天井が高く、優に10人以上は泊まれるであろう広さがある。まさに非日常。昨年末、筆者はここに家族と宿泊した。

筆者が昨年末にAirbnbを通じて宿泊した物件(注:写真の一部を加工しています)

 ここはホテルでもペンションでもない。自宅や別荘を貸したい個人と借りたい個人をつなぐ新手のプラットフォーム、「Airbnb(エアビーアンドビー)」というサービスを利用し、保有するオーナーが一般向けに貸し出していたものだ。普段はオーナーが別荘として住んだり、テレビCMなどの撮影目的などに貸したりもしているという。

 思い立って予約したのが前日にもかかわらず、オーナーは快くスマートフォンのアプリ上で応対してくれ、鍵の受け渡しも現地で難なく済んだ。キッチンや食器、ソファーにテレビ、寝具、暖房機器など設備は充実しており、清掃も行き届いている。チェックアウトまで気ままに自分たちの別荘のように楽しんだ。

 「得難い経験」と老齢の両親も喜んでくれた。友人に写真を見せると「え、いくらするの? 15万円はするんじゃない?」。実際は大人5人で泊まり、1人1万円強。ホテル検索サイトでは絶対に体験することができないエアビーならではの魅力を、肌身で感じた。

安倍発言を契機に動き出した民泊解禁の流れ

 個人の遊休資産や時間を他人のために活用し利益を得る「シェアリングエコノミー」という新たな経済活動が、世界規模で爆発的な成長を遂げている。エアビーはその急先鋒だ。

 パソコンやスマートフォンのアプリから、ホテル検索のように簡単に物件を探したり、予約・決済をしたりすることが可能で、掲載物件は世界190カ国、3万4000都市以上に200万件超もある。利用者数は2008年の創業以来、延べ6000万人を超えた。

 欧米の旅行者にとっては、もはや必須ツール。その波は日本にも押し寄せている。エアビーを通じて国内物件に宿泊した「ゲスト」の数は、2014年7月~2015年6月の1年間で52万5000人。その多くが外国人旅行者で、2015年通年では100万人を超えたようだ。貸し出す「ホスト」や、英語などで紹介されている物件数も前年比3倍以上の勢いで急増。東京・大阪・京都を中心に1万件を超えている。

 ただし、問題がある。掲載物件のほとんどが、国内では旅館業法の許可を受けていない「違法」状態なのだ。

 国内ではエアビーのようなサービスを「民泊」という言葉でくくっている。違法民泊が放置されている状態を解消しようと、昨年秋から政府内で規制緩和の議論が進み、メディアには「民泊解禁」という見出しが踊った。誰もが自宅などを気軽に他人に貸せるようになる、という印象の読者も多いだろう。しかし、筆者は真逆の印象を抱いている。

 現状の議論を俯瞰すると「迷走」と言わざるを得ない。規制緩和の名を借りた「規制強化」が進んでいる、とも感じている。

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「迷走する「民泊」、解禁ではなく規制強化?」の著者

井上理

井上理(いのうえ・おさむ)

日経ビジネス記者

1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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