初潜入、大手EMS国内工場の意外な姿

フレクストロニクスの国内拠点で見た「日本のモノづくり」

 東北新幹線「なすの」の停車駅、小山駅(栃木県小山市)から車で約40分。筑波山が目の前に広がる工業団地に、目的の工場はあった。「flex」と書かれたロゴの看板が目立つこの工場は、世界大手のEMS(電子機器の製造受託サービス)、フレクストロニクスの日本拠点だ。

フレクストロニクス日本拠点の外観

 EMSは少品種大量生産を得意とし、規模のメリットを生かしたコスト競争力を強みに持つ。企業から委託された製品を、アジアの大工場にて労働集約型で大量生産し、規模を拡大させてきた。世界最大手は昨年シャープを買収し何かと話題が集まる台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業。シンガポールに本社を構えるフレクストロニクスは、鴻海をはじめとする台湾EMSに次ぎ、売上高で業界4位の位置につける知られざる大手企業だ(2016年3月期で約2兆7000億円)。

 そんなメガEMSの日本工場とは一体どんな現場なのだろうか。メディア初潜入というフレクストロニクスの日本拠点を取材すると、大量生産、労働集約型といったEMSのイメージとは異なる“日本らしい”現場が繰り広げられていた。

「多品種変量生産」が強み

 元々はNECの工場として1981年に操業開始したこの工場は、2002年に大手EMS、ソレクトロンに編入、2007年にフレクストロニクスのソレクトロン買収により社名が変更された。床面積1万7000㎡、従業員数は約350人と、世界のEMS工場と比較すると規模は小さい。

 「日本の工場は『多品種変量生産』を手がけています」(フレクストロニクス・インターナショナルの岩渕政典ビジネス部生産革新マネージャー)。現在は約25の顧客、計50〜60品目の電子製品の生産・修理をしている。 サーバーや、ストレージ向けプリントの回路基板実装、半導体検査装置向けボックスの製造など幅広い。

 実際に工場の現場を歩くと、少し移動しただけで手がける品目が変わる。パネルコンピューターの組み立てラインでは、5メートルほどの「ミニ生産ライン」がいくつか横に並んでいた。女性従業員が一人でミニ生産ラインを行ったり来たりし、製品を順序よく組み立てていく。一つの品目を一人で生産することを前提に作られている「一人屋台方式」とは異なり、ミニ生産ラインは生産品目が変わっても対応しやすく、変量生産に適しているという。

5メートルほどのミニ生産ライン。一人でパネルコンピューターの組み立てを手がける。(写真:陶山 勉)

 ある作業部屋ではキオスク端末の修理が行われていたが、広い部屋に置かれた数十台のキオスク端末に囲まれ作業をしていたのは、一人の従業員。ピーク時でも作業にあたるのは3人ほど。自動化はせずに手作業で修理をしていると言う。工場内にはこのように大型の自動化設備は少なく、少人数による手作業の修理・生産の光景が多く見られた。

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著者プロフィール

齊藤 美保

齊藤 美保

日経ビジネス記者

2011年中央大学法学部卒業。同年、日本経済新聞社に入社。産業部にて電機、IT、自動車業界を担当した後に、2014年3月から日経ビジネス編集部に出向。精密業界を中心に製造業全般を担当する。

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