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原油価格低迷の裏にもう1つの犯人

地政学リスクが上昇を抑え込む

2016年2月29日(月)

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 原油価格の低迷が世界経済を揺さぶり続けている。

 サウジアラビアとロシア、ベネズエラ、カタールの4カ国が16日、原油の増産を凍結することで合意し、原油先物の指標、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が、1バレル30ドル台に上がると、米ダウ工業株30種平均は前日比で約1.6%上昇した。

 ところが、当のサウジのアリ・ヌアイミ石油鉱物資源相が23日になって、減産について「産油国で約束しても守られない」「時間の無駄」と発言したと伝わると、WTIは前日比4.6%安と大きく下げ、ダウも同1.1%下落した。

写真:Adem Demir/Anadolu Agency/Getty Images

産油国の経済縮小リスクに懸念

 市場が恐れるのは、原油価格の下落が次なるリスクを膨れ上がらせるからだ。既に中東最大の産油国であるサウジは2016年に財政赤字(予算ベース)が約891億ドル(約9兆9000億円)と、前年の約2倍に急増する見込み。

 潤沢な資産を抱えるサウジがすぐに危機に陥るようなことはないが、輸出の多くを原油に頼るアルジェリアやナイジェリア、ベネズエラなどは経済の縮小に直面している。ベネズエラはもはや対外債務が債務不履行(デフォルト)になる懸念すら広がっている。

 産油国の経済危機は、資金の貸し手の先進国に飛び火しかねないし、先進国も米国などでは原油採掘業者の一部に破綻も広がっている。原油価格がさらに下がり、低迷を続ければ、世界経済が信用秩序から大揺れする恐れさえあるのだ。

米国がサウジを離れ、イランへ接近?

 2014年半ばから1年半以上に及ぶ原油価格の下落はなぜ、終わらないのか。理由は既に明白である。1に中国の景気減速による需要の伸び悩み、2に米国のシェールオイルの生産増、3には、サウジなど主要産油国がシェア維持のために減産しようとしないことなど。つまりは需給バランスが完全に崩れたというわけだ。

 しかし、本当にそれだけなのか。地政学という角度から眺めてみると、その背景に別の大きなうねりと、それが原油市場を動かしている構図が浮かぶ。中心にいるのは、当然のように米国である。

 大胆に言えば、米国はここ数年、中東の同盟国、サウジとイスラエルからじりじりと“離れ”、天敵だったはずのイランに近づいている。それが具体的な形をとったのが、米国と欧州連合(EU)が今年1月半ば、イランに対する経済制裁の解除を決めたこと。欧米は、これまでイランが核開発を続けているとして、対イランの経済活動の停止など経済制裁をしてきた。だが、ウラン濃縮の制限などをイランが受け入れたことで制裁は解除され、国際経済への復帰が決まったのである。

2014年半ばから大きく下げてきた
WTI原油価格の推移

コメント3件コメント/レビュー

最近、経済成長率を下げている要因として原油価格が下がり続けていることが指摘される。詰り、原油価格が上昇すると、それを売買する国々のGDPを押し上げる。国民一人当たりのGDPは豊かさの物差しとして使われるが、事実は「豊かさ」ではなく「収入の多寡」である。例えば全ての物価や給料が1.5倍になったとすると、生活レベルには何の違いもないのに「所得が5割増しになり豊かになった」と表現される。私個人的には年金生活者なので、残業手当もボーナスもなく、収入は一定している。その状態で物価が下がれば、下がる前よりは多くの物を消費する。詰り、収入の内一定額を貯蓄や投資に回す以外は消費するので、消費の総額はほとんど変わらない。1ドル80円の4年前には百円ショップで「こんな物まで百円!?」と驚いていた商品の多くは百円ショップから姿を消した。従って、最近は百円ショップに行っても楽しくない。日銀と政府は「2%のインフレ」状態にすることを目指しており、そうする事が経済発展の基本の如く説明しているが、実感として理解できない。原油価格が1バレル100ドル以上していた2年前に比べて30ドル以下と3分の1以下になったのにガソリンは半値にもならない。それはガソリン税が現在1リットル当たり53.8円と価格に対する比率でなく決められていることもあるし、貯蔵から精製や運搬などの諸費用を加えていくと原油価格が下がった程にはガソリンの店頭価格は下がらない、というのが専門家の説明だ。色々な現象を考慮すると、年金生活者にとっては円高になってくれた方が「豊かな暮らし」を実現できるし、消費も活発になる。ただし、金額換算(日本円)した時には変化ない。然し、ドル換算すれば円高になれば円でもらう年金は変わらないのにGDPを押し上げる要因になる。創造性を失った多くの日本企業にとって、円安は利益を上げる救いの神であり、株価も上げてくれるが、我々年金生活者にとっては生活レベルが下がるだけ。正直言って、ガソリン価格が少々下がるよりは、円高になってくれた方が年金生活者の私にはありがたい。たまには海外旅行もしたいが、この円安では今まで毎年行っていたのを1年おきに減らさざるをえない。私が望むのは、指標の数値上での豊かさではなく、実感できる豊かさだ。(2016/02/29 17:52)

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「原油価格低迷の裏にもう1つの犯人」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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最近、経済成長率を下げている要因として原油価格が下がり続けていることが指摘される。詰り、原油価格が上昇すると、それを売買する国々のGDPを押し上げる。国民一人当たりのGDPは豊かさの物差しとして使われるが、事実は「豊かさ」ではなく「収入の多寡」である。例えば全ての物価や給料が1.5倍になったとすると、生活レベルには何の違いもないのに「所得が5割増しになり豊かになった」と表現される。私個人的には年金生活者なので、残業手当もボーナスもなく、収入は一定している。その状態で物価が下がれば、下がる前よりは多くの物を消費する。詰り、収入の内一定額を貯蓄や投資に回す以外は消費するので、消費の総額はほとんど変わらない。1ドル80円の4年前には百円ショップで「こんな物まで百円!?」と驚いていた商品の多くは百円ショップから姿を消した。従って、最近は百円ショップに行っても楽しくない。日銀と政府は「2%のインフレ」状態にすることを目指しており、そうする事が経済発展の基本の如く説明しているが、実感として理解できない。原油価格が1バレル100ドル以上していた2年前に比べて30ドル以下と3分の1以下になったのにガソリンは半値にもならない。それはガソリン税が現在1リットル当たり53.8円と価格に対する比率でなく決められていることもあるし、貯蔵から精製や運搬などの諸費用を加えていくと原油価格が下がった程にはガソリンの店頭価格は下がらない、というのが専門家の説明だ。色々な現象を考慮すると、年金生活者にとっては円高になってくれた方が「豊かな暮らし」を実現できるし、消費も活発になる。ただし、金額換算(日本円)した時には変化ない。然し、ドル換算すれば円高になれば円でもらう年金は変わらないのにGDPを押し上げる要因になる。創造性を失った多くの日本企業にとって、円安は利益を上げる救いの神であり、株価も上げてくれるが、我々年金生活者にとっては生活レベルが下がるだけ。正直言って、ガソリン価格が少々下がるよりは、円高になってくれた方が年金生活者の私にはありがたい。たまには海外旅行もしたいが、この円安では今まで毎年行っていたのを1年おきに減らさざるをえない。私が望むのは、指標の数値上での豊かさではなく、実感できる豊かさだ。(2016/02/29 17:52)

原油価格において「地政学リスク」に注目すべきという示唆は有益だ。今後の見通しを考えるうえで欠かせない視点だ。かつ,米国の思惑が絡んでいることが問題を複雑にしていることが理解できた。つまり「スーパー・テューズ・デー」は注目せんといかんということだろう。ところで,「中東」「石油」「中国」が米大統領選挙でどんな影響をいつごろから受けるか米国の「世界戦略」と「地政学」が「資源経済」へどのような影響を与えるのか。短期と中長期を分けて分析解説していただけたらと思う。(2016/02/29 15:56)

日本も「日本エネルギー」の開発に取り掛からねば・・・
石油メジャーが許してくれない??そうですか。(2016/02/29 11:13)

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