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「コツコツ投資が報われる」って誰が言った

いま、年金積み立て開始は得策か

2017年3月2日(木)

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コツコツ積み立て投資を続ければ、いつの間にか将来資金が出来きていた。身の回りに本当にそんな人がいただろうか。(写真:アフロ)

 今年は個人の資産運用元年と捉える事が出来る。1月から税制メリットの大きい個人型確定拠出年金(愛称iDeCo)が制度拡大し、原則全ての現役世代が加入対象となった。「積立NISA(少額投資非課税制度)」の創設も与党がまとめた2017年度税制改正大綱案に盛り込まれた。加えて、米国株は連日最高値を更新するなど世界的な株高は続いている。将来に向けた積み立て投資を始めるには一見、悪くないタイミングとも思える。バラ色の将来に向けたコツコツ投資。官民挙げて推奨されているが、素直に従って良いものだろうか。いくつか気になる点もある。少し考えてみた。

疑問1 今の株価は買いか?

 まず、現在の日米の株価を見てみたい。日経平均株価はアベノミクス相場が始まった2012年後半から2倍以上に上昇している状態。ダウ工業株30種平均も歴史的な最高水準で推移している。

 日米共に企業業績は好調であるが、米トランプ大統領の政権運用に不透明感が強く、不安材料も少なくない。指標面で見ても、日経平均の予想PER(株価収益率)は16倍とアベノミクス相場前の12倍台から上昇しており、株価は十二分に企業業績と将来成長性を織り込んでいる水準と見ることも出来る。今後の上昇余地が小さいと仮定するならば、株式や、株式で運用する投資信託に投資するメリットは小さいはずだ。

 長期的な視点でも先進国の株価の先行きには疑問が残る。株価は企業が将来生み出す利益や配当予想から適正水準が求められる。代表的な株価指数の長期的な先行きとなると、それぞれの国のGDP(国内総生産)の成長性との相関性が強いとされる。

 日本はここ20年ほど、平均1%を切る低成長を経験している。欧米の成長率も足元では年1~2%台。先進国の成長が鈍るなか、現在の株高は一時的な現象と見ることもできる。老後資金の形成に向けた20~30年の視点でみると、いま投資を始める必要性はあるだろうか。

疑問2 コツコツ投資は現実的か?

 こういった悲観論に対して、積み立て推進派は「長期的に積み立て投資すれば、株価の変動リスクを抑制でき、最終的には安定した利益を確保出来る」と反論するだろう。その例として、ドルコスト平均法と呼ぶ手法が示される事が多い。その内容は次のようだ。

 例えば毎月1万円ずつA株に投資するとする。1月にA株の価格が2000円だと5株買える。2月にはA株が500円に値下がりし、1万円で20株買える。3月になると株価は1000円まで回復する。この月買えたのは10株。1~3月で3万円投資して合計35株を手に入れる。3月時点の株価は1000円だから、保有株式は35000円相当。株価は上下したものの5000円の利益が出る。

 我慢すれば報われるという理屈だ。規律のある積み立てで時間分散を進めれば、バブル期前後から投資を始めていても、収支はプラスになるという。

 しかし、ここで問いたい。20~30年間規則正しく、同じ投資信託などに積み立て投資を続けてきた人間が果たして皆さんの身の回りにいたであろうか。

 バブル崩壊やリーマンショック時の株価急落に動じず、突然の出費で投資資金を切り崩すこともない。雨にも風にも負けず辛抱強く一定の投資を続ける。そんな宮沢賢治のような個人投資家を私は知らない。

 長期的なドルコスト平均法は極めてストイックで経済的に合理的な人間を前提としている。NISAやiDeCoをきっかけに投資を始めた人々が、今後30年同じ銘柄に投資を続けるなんて不可能に近い。

 「高度経済成長が終わった日本では、相場は上がったり下がったりの連続。長期投資が良いなんて幻想だ。長く持ち続ける事ほど辛いものはない」。バブル期に有名証券会社で活躍した70歳代投資家の言葉が重くのしかかる。

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「「コツコツ投資が報われる」って誰が言った」の著者

武田 健太郎

武田 健太郎(たけだ・けんたろう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学教育学部卒業、日本経済新聞社に入社。「NIKKEIプラス1」を担当後、証券部で金融マーケットや企業財務を取材。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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