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欠陥マンション、相次ぐ「全棟建て替え」の裏側

専門家が明かす消費者の自衛手段

2016年3月4日(金)

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住友不動産が2月末、新たな施工不良が発覚したことから管理組合に全棟建て替えを提案すると通知した横浜市西区のマンション(写真:日経アーキテクチュア)

 欠陥マンションの全棟建て替えというニュースが相次いでいる。

 住友不動産は2月末、2003年に販売した横浜市西区のマンション(施工会社は熊谷組)について、新たな施工不良が発覚したことから管理組合に全棟建て替えを提案すると通知した。2013年春に棟を結ぶ渡り廊下の手すりがずれていることが見つかり、2014年4月には支持層に届いていない杭があることが判明した。

 杭の施工不良が判明しているのは、全5棟のうち4棟。これまで住友不動産は1棟のみの建て替えを提案していた。だが、今回新たに配管を通すための「スリーブ」と呼ぶ穴を開ける際に、強度を保つために必要な鉄筋を切断していた疑いが強くなったため、全棟建て替えに方針を変えた。

全棟建て替えが「標準」に

 全棟建て替えの流れを作ったのが、三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市都筑区のマンションのケースだ。一部の棟に傾きが発生し、杭が支持層まで届いていなかったことが判明。三井不レジは昨年10月、管理組合に全棟建て替えを提案した(関連記事:傾斜マンション、録音撮影禁止・説明会の中身 )。これを受け、今年2月27日に管理組合が全棟建て替え方針を決議した。これが住友不動産の方針変更にも影響したと見られる。

 マンションは元請けが施工し、デベロッパーと呼ばれる販売業者が消費者に引き渡す。デベロッパーは引渡し前に入念な品質チェックをして顧客に引き渡すのが当然だが、大手財閥系の2社で、それが十分に果たされていなかった。

 一連の騒動を通じ、筆者は現在の不動産業界には2つの問題があると感じている。

コメント3件コメント/レビュー

民法では、建築物に重大な瑕疵があっても建て直しは請求できないことになっている。建築業者の体力から考慮された、民法制定当時の現実的な解法と言えよう。
しかし、それを良いことに手抜きが頻発しているのはこの業界の常識である。昨今の騒動は、マンションの規模が大きくて事件として報道されたから表面化した。そして(ゼネコンに責任転嫁できる)大手のデベロッパーだから建て替えをしたにすぎない。中小のゼネコンやデベロッパーを淘汰したいという大手の思惑もあるだろう。
さて、これだけモラルハザードがある現在、建て替えの請求を可能とする強行規定(契約で排除できないこと)を作ってはどうか?建て替え受けなくても良い免責条項をセットにすれば問題あるまい。そうすれば、少しは日本の建築も品質が確保できるのではないか。(2016/03/07 07:39)

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「欠陥マンション、相次ぐ「全棟建て替え」の裏側」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

民法では、建築物に重大な瑕疵があっても建て直しは請求できないことになっている。建築業者の体力から考慮された、民法制定当時の現実的な解法と言えよう。
しかし、それを良いことに手抜きが頻発しているのはこの業界の常識である。昨今の騒動は、マンションの規模が大きくて事件として報道されたから表面化した。そして(ゼネコンに責任転嫁できる)大手のデベロッパーだから建て替えをしたにすぎない。中小のゼネコンやデベロッパーを淘汰したいという大手の思惑もあるだろう。
さて、これだけモラルハザードがある現在、建て替えの請求を可能とする強行規定(契約で排除できないこと)を作ってはどうか?建て替え受けなくても良い免責条項をセットにすれば問題あるまい。そうすれば、少しは日本の建築も品質が確保できるのではないか。(2016/03/07 07:39)

「国内で販売されるほとんどのマンションは、品質面の問題を抱えているわけではない」、と言われる根拠はなんでしょうか。内容がいいだけに、簡単に言われるのが残念です。(2016/03/04 10:53)

たいへん参考になった。私が「記者の眼」に求めてる「独自の視点」が感じられて頼もしい。さて,この記事を読んでいて昭和のころ半導体屋の現場での品質管理話を思いだした。
「日本の消費者は世界一厳しい。規格内の品質でも問題が起これば製品の問題になる。だからアメリカのMIL規格級の品質管理を民生品規格品にも適用して納品する。」と品質管理責任者は胸を張っていた。複雑化する「製品」は「システム」であり「組織」なのだ。システムは一部に不具合があっても他の要素が補って安全や品質を確保する。それを支えるのは「正しい情報」とそれに基づく「適切はマネジメント」だ。この国の弱点の一つがここにあるように思う。今回の問題を上述の弱点に対する視点からも検討していただきたい。(2016/03/04 10:34)

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