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イトキン、険しき「再成長」への道

食い違う、支援ファンドの思いと業界内部の評価

2016年3月8日(火)

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 「ミシェルクラン」「ヒロコ・コシノ」「クレージュ」「エル」「アー・ヴェ・ヴェ」…。こうしたブランドに聞き覚えはあるだろうか。いずれも、かつて一世を風靡したことはあるから、ファッションに興味のない人でも聞いたことくらいはあるはずだ。

 これらのブランドを展開する老舗アパレルのイトキンが、経営危機に直面し、投資ファンド、インテグラルの傘下で経営再建を目指すことになった。今年2月10日のことだ。

 「イトキンが危ない」という話は、業界関係者の間で以前から時折、話題になっていた。それが2015年後半になると、より真実味を帯びて語られるようになっていた。ちょうど昨年、アパレル業界は大きなターニングポイントを迎えていた。ワールドやTSIホールディングスといった大手が、業績不振を受けて、軒並み店舗の大量退店を発表していたのだ(詳細は「ワールド大量退店が変える商業施設の未来図」。

 それなのに、同じように業績不振に苦しむと聞くイトキンの退店話は、あまり耳にしなかった。店を閉めるには、それなりの企業体力が求められる。もしかするとイトキンには、閉店するための資金すら残されていないのではないか。となれば、仮にファンドや銀行に支援を仰ごうとも、手を差し伸べる金融機関は見つかりにくいはずで、最悪の場合は倒産をまぬがれないのではないか――。そんな風に思っていた矢先のことだったので、最終的にインテグラルの支援を受けてイトキンが存続すると知った時には、率直に「良かった」と感じた。

 インテグラルは、これまでに「ヨウジヤマモト」などを支援した実績がある。アパレル業界に全く知見のないファンドではないし、イトキンの会長に就くインテグラルの辺見芳弘パートナーは、かつてアディダスジャパンの日本法人設立にも参画した人物だ。ずぶの素人が経営再建に乗り出すわけではないのだから、何らかの有効な再建策があるのだろう。そんな期待を持って、イトキンの今後の再建方針について話を聞いた。

 インテグラルの山本礼二郎代表パートナーや辺見パートナー、今後社長に就いて再建を主導するイトキンの前田和久副社長らの話は、「イトキン買収のファンド、真相を語る」をご覧いただきたい。

取材に対応するインテグラルの山本礼二郎代表パートナー(左)とイトキンの前田和久副社長(中央)、インテグラルの辺見芳弘パートナー(右)(写真=的野弘路)

 内容をかいつまんで説明すると、イトキン再建策は主に3つの柱で成り立っている。1つ目は、不採算のブランドを整理し、不採算店舗を閉めること。28あるブランドを21まで減らし、店舗は現在の約1400から1000くらいに削減する。まずは赤字を垂れ流す体制を改める。企業再建においては当然の対処だろう。

 2つ目が販路の拡大。イトキンの販路の約7割は百貨店だった。だが地方を中心に、百貨店業界は苦戦している。そのため百貨店以外の販路に乗り出すというのだ。ブランド特性や客層を見極めながら、EC(電子商取引)やショッピングセンター(SC)などの販路を強化する計画だ。

 3つ目がブランドの育成だ。辺見氏によるとイトキンの保有するブランドは、多くが売上高30~50億円程度で、決してメガブランドとは言えない。ただそれゆえに、それぞれのブランドが多様化する消費者の好みに対応できており、ニッチ市場を攻略できる可能性が高いというのだ。百貨店を中心に展開されている「シビラ」や「タラジャーモン」、またSCに入る「アー・ヴェ・ヴェ」などをさらに育てて成長を求める。

 まずは赤字を「止血」し、販路を広げたり好調なブランドをてこ入れしたりして再建する。極めてまっとうな考え方だ。話を聞く限り、確かにこうした計画が実行できれば、イトキンは再建されるのだろうと感じた。

 だが、インテグラルの示すこうした再建策に、アパレル業界の関係者たちはあまり前向きな評価を下していない。

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「イトキン、険しき「再成長」への道」の著者

日野 なおみ

日野 なおみ(ひの・なおみ)

日経ビジネス記者

月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・鉄道業界や小売業界などを担当する一方、書籍編集なども手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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