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カキ・マス…「陸上養殖」に挑むJR西と近大

2017年3月8日(水)

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カキやサクラマスを陸で育てる――。
日本各地でそんな新しい動きが広がっている。手掛けるのは西日本旅客鉄道(JR西日本)や近畿大学で、それぞれ地元の企業・自治体とタッグを組んでの取り組みだ。一風変わった養殖の実態に迫った。

JR西日本は地元企業のファームスズキなどと組み、カキ「オイスターぼんぼん」を陸上養殖する。(写真:橋本 真宏)

 昨年12月。瀬戸内海に浮かぶ大崎上島(広島県)で、新しい養殖の取り組みが報道陣に公開された。お目見えしたのはカキ。JR西日本が地元の養殖販売会社ファームスズキ、飲食店経営のオペレーションファクトリー(大阪府)と組み、養殖した。名前は「オイスターぼんぼん」。生食向きの高付加価値カキという。

 陸なのになぜ養殖できるのか。そして風変わりな名前の由来は――。日ごろ水産業に何かと関心がある記者は、最初にその存在を聞きつけて、真相を知りたいといても立ってもいられなくなった。無事に取材の機会を頂き、担当者の説明を聞いて納得がいった。

地下海水で養殖

 オイスターぼんぼんの最大の特徴。それは「陸上養殖」という独特の養殖法にある。水産物の養殖は、湾内に仕切りを設け、流れ込む海水を使いながら育てる海面養殖が一般的。ところがこのカキでは、くみ上げた地下海水を、塩田跡の養殖池に張って育てている。地下海水はろ過されているため、海水に比べて不純物が少ない。こうしてノロウイルスに感染するリスクが低く、生食向きのカキが育つ。

 オイスターぼんぼんは「ぼんぼん(お坊ちゃま)のように大切に育てられたカキ」を意味する。養殖池でじっくり育てられたカキのイメージにピッタリだ。オペレーションファクトリーが運営する、東京・新宿駅や大阪・梅田駅の近くにあるオイスターバーで、昨年12月から数量限定で販売した。

 JR西日本は2017年度まで5年間の中期経営計画で「地域との共生」を掲げる。西日本の地域産品の発掘・流通にも力を注いでおり、水産物の陸上養殖にも乗り出した。

JR西日本が鳥取県と養殖する「お嬢サバ」。今年は新たな設備も稼働予定で、需要の拡大に応える(写真:大亀 京助)

 同社の陸上養殖の先駆けとなったのが、生で食べられるサバ「お嬢サバ」だ。2012年に鳥取県が試験養殖を始め、2015年からJR西日本が参画。共同で生産・販売に乗り出している。現在は鳥取県栽培漁業センター(湯梨浜町)で養殖を進める。

 陸上養殖の基本的な仕組みはオイスターぼんぼんとほぼ同じ。「箱入り娘のように陸上で大切に育てられ、(寄生虫のアニサキスなどの)悪い虫がつかない」ことがブランド名の由来だ。

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「カキ・マス…「陸上養殖」に挑むJR西と近大」の著者

須永 太一朗

須永 太一朗(すなが・たいちろう)

日本経済新聞証券部

2003年一橋大学社会学部卒業、日本経済新聞社に入社。西部支社(福岡)で警察、企業、県政を順に担当。その後は主に証券部で日本株相場を取材。14年3月、日経ビジネス記者に。17年4月、日本経済新聞証券部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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