• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

認知症、「権利と責任の線引き」の行方

道交法改正だけでは解決しない

2017年3月13日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「クルマを買い換えようと思うのだけど、どうしたらいいかな?」。母から電話がきたのは、2年ほど前のことだった。

 すでに60歳台半ばである。どう答えようかと正直迷ったが、幸いまだ心身ともに健康でそれほどの衰えは見て取れなかった。母にとってクルマは生活の一部として欠かせない存在であり、ここで無理に運転を諦めさせれば本人にとっては心理的に抵抗が大きいことが予想された。生活範囲が狭まればかえって健康面の維持を考えても良くないかもしれない、とも思ったのを覚えている。

 結局、自動ブレーキ機能搭載の、当時として最も安全性能が高いと思われたクルマを勧めることにした。安全機能の分値段が張るのは痛いが、万一の場合に事故を未然に防げるかもしれないし、最悪の場合でも被害を最低限に抑えられるはずだ。本人に衰えがみられるなら、すぐに免許を返納しようとも話した。今のところそのような事態にはなっておらず、母は今も元気でクルマを乗り回している。ただ、いずれ決断を迫られる時は来るのだろう。

 日経ビジネスは3月13日号で、「認知症」をテーマにした特集を組んだ。認知症の原因が全て明らかになっているわけではないが、加齢が大きな要因であることは疑いがない。長寿化が進んだ今の日本において、認知症になるリスクは国民全員にあるといえるだろう。

 認知症は、決して過度に恐れるべき病ではない。徐々に進行するため、本人と周囲の理解があれば日常生活を長く過ごすことができる。ただ、認知症になっていることに、気が付かなければ悲劇を招くこともある。

法改正で高齢者の認知検査の機会を増やす

 昨年10月、横浜市で男性(88歳)が運転する自動車が集団登校中の児童の列に突っ込み、7人が死傷する事故が発生した。横浜地検は今年2月、この男性を処分保留で釈放している。認知症を発症していた疑いがあり、不起訴処分になる公算が大きい。男性は「どうやってここまで来たのか覚えていない」などと供述していたという。周囲から運転をやめるように促されたこともなかったとみられている。

 被害者と遺族の気持ちを思うとなんともやりきれないが、検察は3カ月に渡って取り調べ、被害者となった男性への責任を問うことは難しいと判断した。そのほかにも、高速道路逆走やコンビニエンスストアに突っ込むといった事故が度々報道されている。

 実は、75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数は過去10年間、ほぼ横ばいで推移している(2005年に457件、2015年は458件)。増えている印象があるのは安全技術の進化などで死亡事故の件数が減少しているため、割合が高まっているからだ(2005年は7.4%、2015年は12.8%)。

コメント0

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「認知症、「権利と責任の線引き」の行方」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック