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青山葬儀所にみる「現代葬式考」

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2016年3月29日(火)

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青山葬儀所の外観

 新聞の訃報欄を読んでいる人はさほど多くはないと推測するが、記者はどちらかといえば興味を持って一読するタイプだ。

 近年、この訃報欄にちょっとした「変化」が起きている。「通夜・告別式は近親者のみで行う」という文言が増えているのだ。この表記はすなわち、「密葬(家族葬)にするから、喪主が声をかけない限り、参列しないで欲しい」とも読み換えることができる。

 かつては大企業の幹部や著名人が亡くなれば、訃報欄の情報を頼りにして、通夜や葬儀に駆け付けたものだ。「近親者で執り行った」と言われれば、「寂しい」と思う人もいれば、中には「密葬にしてもらって助かった」とホッとする人もいるはずである。

 かつてバブル期前後は、参列者を集められるだけ集めるような、大規模葬がもてはやされた。会社の幹部が亡くなれば社葬を実施し、豪勢な祭壇を設け、会場外に花輪をずらりと並べた。

 この“大葬儀時代”には良くも悪くも社員、取引先など関係者大勢が参列した。新聞の訃報記事を情報源にして葬儀会場へと足を運び、不特定多数の参列者に紛れ込んで「御礼の品」や「香典返し」をくすねる不埒な輩が、数多く出没する状況も見られた。

「青山葬儀所離れ」に拍車

 しかし最近は著名人や富裕層でも、こうした派手な葬式を控えるようになっている。この潮流は、結婚式の流行現象とよく似ている。結婚式はバブル期には「ハデ婚」がもてはやされたが、現在では親族や近しい友人たちだけに限って開く、アットホームな式が主流だ。

 ここで、昨今進んでいる都市部の葬式の簡素化を示すデータを紹介する。葬祭サービス会社・鎌倉新書が2014年に実施した「葬儀の種類」の割合である。関東圏に限定した。

 関東圏では従来の一般葬(参列者が31人以上)が34%にまで減っている。逆に、一般葬より規模がぐっと小さい家族葬(密葬とほぼ同義、参列者30人以下、同32%)や1日葬(1日だけの葬儀、同11%)、直葬(葬儀を実施せず火葬のみ、同22%)が台頭している。

 葬儀が簡素化する潮流はここ15年ほど続いている。そこで対照的に巨大斎場の動向を調べてみると興味深い事実が浮かび上がってきた。記者は全国でも屈指の知名度を誇る斎場、青山葬儀所(東京都港区)に着目した。

 青山葬儀所は名だたる著名人を送ってきた名門斎場である。都会のど真ん中に位置する至便な場所にありつつも、空間にゆとりがあって落ち着いた風情がある。企業が社葬を行う会場としても真っ先に候補に挙がる。それこそ新聞の訃報欄の「常連」である。だが、最近、訃報欄で青山葬儀所の名前を見ることが少なくなった気がする。

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「青山葬儀所にみる「現代葬式考」」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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