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超高齢カリスマ経営者に企業を託せるか?

“寿命への挑戦”よりも大事な、後継者の育成

2016年4月13日(水)

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 「カリスマ経営者は、一体いくつになったら現役から退くべきなのだろうか」

 先週、取材中にぼんやりとそんなことを考えていた。4月7日に開かれた、セブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)の退任会見でのことだ。

 83歳の現役カリスマ経営者である鈴木会長は、セブン&アイの村田紀敏社長(72歳)と古参の顧問2人(81歳と77歳)を引き連れて会見場に姿を現した。そしておもむろにマイクを握り、傘下にあるセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長への批判を始めた。

写真は左から、鈴木会長と村田社長、その先に顧問が2人続いた。4人の平均年齢は約78歳と高い(撮影:的野 弘路)

 「(井阪社長は)全部自分でやってきたように話すけれど、実は私がすべての経営方針を固めていた」「けんか腰で私に食ってかかってきた」と鈴木会長が語れば、同席した顧問は、井阪社長に退任を促すため、父親の家に訪れたエピソードを披露。人事案をスムーズに通すために創業オーナーである伊藤雅俊名誉会長に根回しに行ったけれど「判子をもらえなかった」と明かすなど、生々しい話が延々と続いた。

 日本を代表する流通コングロマリット企業の内情とは思えない稚拙なガバナンス体制と、平均年齢78歳の4人の立派な経営者が語ったとは思えない話の内容に、居合わせた記者の多くが、私と同じように衝撃を覚えたのではないだろうか。

 現場の様子は是非とも「セブン会長、引退会見で見せたお家騒動の恥部」をお読みいただきたい。

「自分で考えたことをこの先何年もは実行できない」

 この最中、冒頭に記したように私がぼんやりと考えたのは、鈴木会長の次のような言葉がきっかけだった。「私自身、今までのように、自分で考えたことをこの先何年も実行できるわけではありません。後継を育てることが必要だと常々感じていました」

 鈴木会長自身が井阪社長を選任したけれど、期待通りでなかったために別の後継者を育てなくてはならない。そのためにもまず井阪社長にセブン-イレブン・ジャパン社長を退任してもらう必要がある。そんな主旨で語られた言葉だった。

 このコメントを聞いて、私には次のような疑問が浮かんできた。「仮に鈴木会長が今の年齢から新たな後継者を育て始めるとして、一体、いくつになるまで経営トップをやり続けるつもりだったのだろう」。こう感じた瞬間、そういえば今年に入ってまだ3カ月半しか経っていないのに、同じような疑問を別の会見でも抱いた、ということを思い出した。

 今年2月、ロッテホールディングス(HD)筆頭株主である光潤社の重光宏之代表が開いた会見だった。ロッテHDも2015年1月から、創業者である父の重光武雄氏と、長男宏之氏、次男昭夫氏の間で、骨肉の争いが続いていた。

 日本と韓国で事業を展開するロッテグループ。これまでは長男の宏之氏が日本ロッテを、次男の昭夫氏が韓国ロッテを経営し、これらを創業者である父の武雄氏が束ねてきた。

 だが2015年1月、武雄氏は突如、長男の宏之氏を解職。その後、ごたごたが続き、結局は武雄氏も経営の座から去り、次男の昭夫氏が日韓ロッテグループを束ねていく方向で一段落した(一連の様子は、本誌2月8日号から5号連続で連載を掲載。詳細は「シリーズ検証 ロッテ騒動、グローバル化の試練」をご覧ください)。

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「超高齢カリスマ経営者に企業を託せるか?」の著者

日野 なおみ

日野 なおみ(ひの・なおみ)

日経ビジネスクロスメディア編集長

月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・運輸業界や小売業界などを担当。2017年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長