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腸内フローラ、ベンチャーが挑む意外な突破口

がんから花粉症まで、最新研究で解明される腸と病気の関係

2016年4月15日(金)

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 1年以上前のことだ。遺伝子解析を手がける企業の社長が「今注目している企業があるんです」と教えてくれた会社があった。名前はメタジェン。「鶴岡がまた出してきたな、という感じで。冨田先生はやっぱりすごいです」という。

 鶴岡、とは山形県鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所(IAB)。バイオテクノロジー分野で国内トップレベルの研究所だ。冨田先生、とはこの「鶴岡」を率いる冨田勝所長のこと。そのIAB発のベンチャーとして2015年3月に設立されたのがメタジェンだ。

 IABからは過去にも、いくつかのベンチャー企業が巣立っている。人工クモ糸繊維を開発したスパイバー、血液の代謝物質からうつ病のバイオマーカーを見つけ出すヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ、唾液からがんを発見するサリバテック。すべてIAB発のバイオベンチャー企業だ。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズは既にマザーズ上場を果たしており、慶大から出た上場ベンチャー第1号でもある。IAB発のベンチャーとして4社目となるのがメタジェンだ。

腸内細菌の「個性」を探索

 メタジェンが着目したのは、人の便。便に含まれる腸内細菌を採取し、その遺伝子を解析する。疾患や免疫、脳との相関関係などを明らかにすることを目的にしている。

 冒頭の社長が行うビジネスはヒト遺伝子の解析だ。ヒトの遺伝子は一生変わらないため、ビジネスとして見た場合「一度しか検査してもらえないので、うま味は少ない」とも言われる。人間同士の差異は1%以下で、残り99%は皆が同じ遺伝子を持っている。

 一方、腸内細菌は100兆個以上もいて、その種類は100種類を優に超える。人の乾燥便1グラムだけで、腸内細菌は1兆個程度潜んでいるとされるが、その働きが明らかになっている腸内細菌はいまだ1%程度にとどまる。そのうえ、腸内細菌は「人によって99.9%異なるため、個性がある」(国立がん研究センター研究所の難治がん研究分野・谷内田真一ユニット長)。家族同士でも違えば、年齢や居住する国などが違えばその差は歴然だ。

乾燥便1グラムに1兆個の腸内細菌が潜む(左)。一般的に広く知られる腸内細菌としてはビフィズス菌(右)や乳酸菌がある。

 さらに、腸内フローラを詳細に分析すると、常に変化を繰り返していることが分かってきた。その人の生活環境に適した状態を作り、その適正環境が何らかの原因によって崩れたときに、体調不良に陥ることなどが判明した。

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「腸内フローラ、ベンチャーが挑む意外な突破口」の著者

染原 睦美

染原 睦美(そめはら・むつみ)

日経ビジネス記者

日経パソコン、日経ウーマンオンラインを経て、2013年4月から日経ビジネス記者。IT担当などを経て、日用品・化粧品担当。趣味は洗濯、昼酒、ピクニック。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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