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海外「クラフト」成長と日本地ビール失速の差

ビール先進国の米豪で見た普及の条件

2016年5月9日(月)

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 ビール市場が縮小するなか、近年日本で人気が高まっているとされるクラフトビール。若者や女性らを中心に新しいビールの楽しみ方として支持を集め、外食店やコンビニエンスストアでの取り扱いが広がっているとされる。ただ、読者のなかには「身の回りではそれほど流行っているようには見えない」と感じる人も多いのではないだろうか。日経ビジネス4月11日号の特集「ビールM&A最終決戦」に関連して取材した米国とオーストラリアは、クラフトビールが日本よりはるかにビジネスとして成功している「ビール先進国」だ。現地での取材や体験を基に、クラフトビールが本当に普及するための条件を探った。

 米国シカゴ市の郊外にある大型酒類専門店。記者が取材で訪れたのは厳しい寒さが続く2月下旬だったが、店内に入った瞬間に目を奪われる光景が広がっていた。ワインやウイスキーもさることながら、膨大な種類のビールが棚に並んでいたためだ。その品目数はざっと目視しただけでも確実に数百種類以上。これまでビール業界の取材を担当してきたが、ほとんどは一度も見たことのないパッケージだった。

隅に追いやられるバドワイザー

 米国でその名を知られるビールはアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)の「バドワイザー」やモルソン・クアーズの「クアーズ」などだ。だが、そうしたメジャーブランドはメーンの広い棚のどこにも見当たらず、散々探し回った挙句、店の隅の方にある1区画でやっと見つけた。案内してくれたサントリーホールディングス子会社、ビームサントリーの女性担当者は「ビール売り場で主役となっているのは完全にクラフトビールね」と笑顔で話した。

 クラフトビールは国ごとに定義が異なるが、一般的には希少な原料を使ったり、こだわりの製法で作られたりしたビールを指すことが多い。米国ではクラフトビールのメーカーは年間生産量が600万バレル以下(1バレルは約160リットル)、麦芽100%の主力品を持つといった複数の基準によって定められている。ちなみに日本はクラフトビールメーカーの明確な基準はなく、酒税法で製造免許に必要な年間最低製造量が60キロリットル以上と定められている。

 冒頭で紹介したような驚きの場面は、その後も、取材で滞在した約1週間に渡り続いた。レストランやバーでは都市ごとの名物であるクラフトビールがあり、例えばシカゴではシカゴの醸造所で作られたクラフトビールが楽しめる。ビームサントリーの取材で訪れたケンタッキー州のホテルでは、ウイスキーの一大産地であるにも関わらずご当地のクラフトビールが何種類もメニューに載っていた。このように書くと飲んでばかりいたように思われるかもしれないが、実際、本当に毎晩違うクラフトビールを飲んでいたのである。

小売店の棚にはクラフトビールが大量に並んでいる(写真:常盤武彦)

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「海外「クラフト」成長と日本地ビール失速の差」の著者

河野 祥平

河野 祥平(こうの・しょうへい)

日経ビジネス編集記者

2006年日本経済新聞社入社。社会部、消費産業部などで警視庁、ネット業界などを担当。直近では企業報道部でビール・清涼飲料業界を取材。2015年4月から日経ビジネス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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