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結局、会社は誰のものなのか?

決算発表シーズンに見る最新トレンド

2018年5月15日(火)

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 会社は誰のものか――。

 このテーマが日本で話題になったのは2000年代の半ば、05年に堀江貴文氏が率いるライブドアがニッポン放送の筆頭株主に躍り出て、フジテレビ(当時)の経営権を激しく争った時だろう。村上世彰氏による「村上ファンド」が「物言う株主」として存在を示したのもこの頃だ。

 それまで、会社は社長や従業員ものとの考えが強かった日本において、「会社は当然株主のもの」という意見を投じた一連の出来事は、大きな論争を引き起こすきっかけとなった。

05年に堀江貴文氏が率いるライブドアがフジテレビ(当時)と経営権を激しく争った際、会社とは誰のものかという議論が巻き起こった(写真:ロイター/アフロ)

 確かに、法的には企業の所有者は株主である。しかし、「会社は誰のために存在するのか」という論点では話は変わる。この議論は、ライブドアや村上ファンドが鮮烈な印象を残して以降、今なお刻々と変化してきている。足下では、3月期決算企業の決算発表が終わりを迎え、来月には株主総会のシーズンとなる。企業は誰のために経営をしているのか、今後発表される資本政策やコーポレートガバナンス(企業統治)の方針から、最新トレンドをみることができるはずだ。

 このテーマでの最新トピックは買収防衛策だろう。買収防衛策とは、敵対的な買収を困難にする予防策のこと。敵対的買収を仕掛けたファンドなどの株式保有割合を減らすために、企業が新株を大量発行する。会社の資産をあえて売却し、企業価値を下げる、などの手法がある。

 経営者側からすれば、見知らぬファンドなどに突如自分の会社の経営権を奪われるなんて許せない、という発想だ。しかし、先ほどの例にあげた新株の大量発行では、全体の株式発行数が多くなり、既存株主の1株あたりの価値を希薄化させる。さらに、買収防衛に向けて企業のエネルギーを注ぐため、国内主要企業のうち買収防衛策を導入する企業は非導入企業に比べ自己資本利益率(ROE)が2ポイント程度低いと、米ゴールドマン・サックスは4月のリポートで分析している。 買収防衛策は、株主よりも経営者を優先する発想と見ることができる。

買収防衛策廃止は株主重視の証明

 この買収防衛策は「物言う株主」などからの反対が強く、減少傾向にある。M&A(合併・買収)助言のレコフによると、上のグラフにあるとおり買収防衛策を導入している会社数は09年の565社から8年連続で減少。18年4月末には401社まで減っている。

 さらに株主総会シーズンの今年6月には、買収防衛策の廃止が更に加速する可能性が高いとされる。機関投資家向け行動指針「スチュワードシップ・コード」が昨年改定され、投資家は総会議案への賛否を開示するよう求められたためだ。買収防衛策の廃止案が提示された場合、これまで現状維持を望みがちだった国内機関投資家なども、株主利益につながる廃止案支持派に転換すると見られるからだ。

 役員報酬が近年上昇している側面はあるものの、買収防衛策廃止というトレンドから、「株主>経営者」という構図が見て取れる。

 もう一つ、「会社は誰のものか」を巡り注目されるのは株主還元だ。2017年度は上場企業の配当額が5年連続で過去最高を更新し、12兆円を大きく超えた。足元の決算シーズンでも、住友商事が配当性向の目安を従来の25%から30%に引き上げる中期経営計画を発表するなど、配当増に向けたトレンドは続く。

 しかし、株主還元の拡大を逆の視点から見ることもできる。企業の最終的なもうけである当期純利益は、配当金と内部留保の2つに主に回される。配当に回す割合を増やせば、会社の成長投資や経済危機に備える内部留保の割合は縮小される。

 株主還元の強化は、会社の将来よりも、株主の現時点での利益を優先する選択とも考えることができる。日本企業はこれまで内部留保を貯めすぎてきたとの指摘も強いが、やはり配当の拡大からは「株主>会社の未来」のトレンドを読み取れる。

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「結局、会社は誰のものなのか?」の著者

武田 健太郎

武田 健太郎(たけだ・けんたろう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学教育学部卒業、日本経済新聞社に入社。「NIKKEIプラス1」を担当後、証券部で金融マーケットや企業財務を取材。CFA協会認定証券アナリスト、AFP(日本FP協会認定)。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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