• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

フィリップ・モリスが「壊す」たばこビジネス

規制はイノベーションを生むか

2016年6月13日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 実際、日本市場での侵食ぶりはすさまじい。東京都内での週間ベースでのシェアは約3%(マールボロブランドは年間で約11%)に達し、記者の身近な喫煙者でもアイコスに切り替えた人が目立つ。ライリー社長は「他社もこのカテゴリーに参入してくるが、市場拡大にとってはいいこと」と自信を見せる。

新しい勝負の「土俵」を作る

 企業の競争戦略に詳しい一橋大学大学院の楠木建教授は、成熟市場におけるイノベーションについて、「いかに自分たちで軸足を決めた戦略ストーリーを持ち、それを動かせるか」を条件に挙げる。その意味では、アイコスの製品としての完成度は兎も角、フィリップ・モリスがたばこ業界に新しい勝負の「土俵」を作ろうとしていることは確かだ。

 特集に書いたように、足元の状況だけを見ればアイコスが健康志向の時代の新しいたばこ製品のデファクトスタンダード(事実上の標準)になる条件を持っているようにも映る。今後は日本たばこ産業(JT)など競合の巻き返しも含め、最も競争が激化する領域になることは間違いないだろう。

 一方、たばこに並び規制や税制に翻弄されてきたビール業界。WHOは2010年の総会で酒類の販売・広告を規制する指針を採択し、大量の飲酒による健康被害や未成年の飲酒を防ぐ方針を明確にしている。大型M&A(合併・買収)で寡占化が進み、世界の市場に飽和感がある点も共通している。

 日本勢はサントリーホールディングスのスピリッツ事業を除けば、残念ながらJTのように世界トップを争えるだけの立ち位置にはいない。ただ、日本の特殊な酒税法や競争環境によって、メーカーが世界でも非常に高い水準のR&D(研究開発)の知見を蓄積することにつながってきたという側面もある。

発泡酒と第三のビールは価格競争の激化も招いた(写真:ロイター/アフロ)

 その典型が「発泡酒」と「第三のビール」だ。元々ビールは欧米に比べ酒税の税率が高く、それが店頭での割高感につながっていた。ビール市場自体も1994年をピークに年々減少。そこで、税法上ビールより「低い酒税=割安な店頭価格」で提供でき、かつビールの味わいに近い「代替品」としてメーカーが生み出したのがこれらの製品だった。

プリン体・糖質ゼロは「世界初」

 発泡酒は1994年にサントリー(現サントリービール)が発売した「ホップス」、第三のビールは2003年にサッポロビールが売り出した「ドラフトワン」が起点となり、市場を形成。開発担当者の努力で中身品質は向上し、デフレ環境も相まって市民権を得た。今やビール類全体に占める構成比は計約5割に上る。

 割安感を訴求できる新たなカテゴリーの創出は価格競争の激化や、新商品の乱発という弊害も生みだした。ただ、肯定的に捉えるならば、原料や製法に関する研究が進んだことで、新たな付加価値を生むための資源が各メーカーに蓄えられてきたともいえる。

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「フィリップ・モリスが「壊す」たばこビジネス」の著者

河野 祥平

河野 祥平(こうの・しょうへい)

日経ビジネス編集記者

2006年日本経済新聞社入社。社会部、消費産業部などで警視庁、ネット業界などを担当。直近では企業報道部でビール・清涼飲料業界を取材。2015年4月から日経ビジネス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

私は町村合併はまったく解決になるとは思っていない。

和田 知士 高知県大川村村長