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出光興産、創業家の乱が招いた三方塞がり

2016年7月13日(水)

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 出光興産の創業家が、昭和シェル石油との統合計画に待ったをかけた。「昭シェルとの統合ありきで話を進めて欲しくない。独立独歩で頑張って欲しい」。出光の筆頭株主で創業家の資産管理会社代表も務める浜田卓二郎弁護士はこう主張し、6月に開かれた定時株主総会で現経営陣に統合の撤回を求めた。7月11日には総会後初めて会社側と創業家側で話し合いの場が持たれたが、両者が歩み寄ることはなく、議論は平行線を辿った。

 出光と昭シェルが統合で合意したと正式発表したのは昨年11月のこと。足元で両社は公正取引委員会の審査を受けており、来年4月の統合実現に向け関係者間での協議も進んでいた。そんな中、唐突に飛び出した創業家の乱。現状で打開策は見えず、「彼らが態度を変えない限り、統合を実現する手段はほとんどない」(業界アナリスト)のが実情だ。

7月11日、創業家と会社経営陣が会談したが、議論は平行線を辿った。会談後、別々に会見を開く創業家側の浜田卓二郎・顧問弁護士(左)と会社側の関大輔・出光興産副社長

 出光と昭シェルは「対等な精神」で統合すると発表している。詳細な統合方法はまだ決まっていないが、どちらかを存続会社とし、株式交換により合併を図る方法を模索していると見られる。ただ、この方法による合併を実現するには、株主総会の特別決議で3分の2以上の賛成票が必要となる。創業家が握っていると見られる株式は議決権比率で33.92%と、微妙な数ではあるが全議決権の3分の1以上を占める。現状では創業家が首を縦に振らない限り、株式交換による合併は難しい。

増資は否定、TOBは財務負担重く

 創業家の意向を無視して統合する方法が無いわけではない。大きく2つの方法がある。まず第三者割当増資により株式数を大幅に増やし、創業家の保有割合を3分の1以下に希薄化する方法。もう一つがTOB(株式公開買い付け)により出光が昭シェルを吸収する2つの方法だ。だが、「どちらも現実的ではない」と複数の業界アナリストは指摘する。

 一時、出光が増資に踏み切るのではないかとの憶測も流れたが、会社側は「検討していない」というコメントを発表している。増資するには既存株主の利益保護に配慮しなければならず、「特定の株主が気に入らないからといって増資に踏み切ると、裁判を起こされるリスクがある」(業界アナリスト)からだ。

 TOBについてはどうか。出光が昭シェルの既存株主から株を買い付け、昭シェルを吸収するやり方だ。総会決議を必要としないので、創業家が何を言おうと昭シェルと経営統合できる。また「創業家は統合で自分たちの株式保有比率が低下し、影響力が落ちてしまうことを懸念しているだけで、TOBで吸収する形ならばいいというのが本音ではないか」(業界関係者)という見方もある。

 だが昭シェル側は出光に飲み込まれる形での統合には反対しており、あくまで両社が対等であることを求めている。またTOBによる吸収は出光の財務を圧迫する。出光の財務基盤は強くない。有利子負債比率は1.8倍程度。元売り5社(JXホールディングス、出光、東燃ゼネラル石油、昭和シェル、コスモエネルギーホールディングス)ではコスモに次いで高い水準にあり、TOBに踏み切れるだけの買い取り資金を準備できるかは不透明だ。

 現在の昭シェルの株価は900円台で推移している。TOBするには、これを超える株価を提示しなければならないだろう。出光は今秋にも英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが保有している昭シェル株を、一株あたり1350円で買い取ると発表している。現在の株価の1.5倍前後にあたり、同じ値段でTOBに踏み切るとすれば、少なくとも3000億円以上の巨額資金を追加で準備しなければならない。また吸収後は多額ののれんが財務にのしかかってくる。その償却負担は大きく、財務の足をさらに引っ張ることになりかねない。

 結局、創業家が反対の立場を表明している今、株式交換による合併、増資、TOBという3つの手段のどれをとっても、出光と昭シェルが統合するのは難しい状況に直面している。

 では、創業家が求めるように独立を保って生き残ることはできるのだろうか。

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「出光興産、創業家の乱が招いた三方塞がり」の著者

飯山 辰之介

飯山 辰之介(いいやま・しんのすけ)

日経ビジネス記者

2008年に日経BP社に入社。日経ビジネス編集部で製造業や流通業などを担当。2013年、日本経済新聞社に出向。証券部でネット、ノンバンク関連企業を担当。2015年4月に日経ビジネスに復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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