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「延命治療にいくら払う?」国民調査に暗雲

薬の費用対効果の評価制度、5年越しの議論も…

2017年8月3日(木)

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 では、ICERの基準値をどう設定するのか?ここでようやく、冒頭の国民調査が登場する。ICERの値が大きいか小さいかを判断する基準値の1つとして、国民調査の結果から算出した「支払い意思額」が使われる予定だ。支払い意思額のほかに、国民1人当たりGDPや諸外国の実態も参考にする。

 7月12日に開かれた専門部会で、厚労省は調査票の案を初めて提示した。それが冒頭の内容だ。ちょっと想像してみてほしい。「ある人が病気にかかっており、死が迫っている」という前提で、完全に健康な状態で1年間だけ寿命を延ばせる新しい治療法が開発された。治療費は公的医療保険から支払われる。治療費がXX円である場合、支払うべきかどうか、「はい」か「いいえ」のどちらかで答えよ――。

 具体的に提示する金額はまだ決まっていないが、異なる金額を2回提示して2回答えてもらうことで、集団としての「受諾確率」を算出するという。「私だったらXX円まで払うべきだと思う」という個人の最大支払額を推計できるものではない、と厚労省事務局は説明する。

「死が迫った患者を1年延命」質問項目に反対意見続出

©3D4MEDICAL.COM /amanaimages

 この調査の質問項目に違和感を抱く読者は少なくないだろう。実際、専門部会でも、医師や保険者を代表する委員から否定的な意見が相次いだ。

 「死が迫っているという前提条件の下では、完全に健康になるならいくらでも支払うと考えるのが一般的ではないか」

 「1年間だけ延命できるというのは、1年たったら亡くなることを想定するのか」

 「回答者の年齢や所得、自分や家族が今、病気にかかっているかどうかなど、かなりのバイアスがかかる。それなのに3000人規模の調査で、国民の総意としていいのか」

 「現実的には、負担額は1割か3割。高額療養費制度もある。公的医療保険でいくらまで支払うべきか尋ねられても、それが自己負担額や保険料にどれくらい影響するかイメージできず、自分事として考えにくいのでは」

 傍聴している立場でも、この国民調査の実現がいかに困難なことかを想像して気が遠くなってしまった。

 医療保険制度への理解が不十分な中で、このような調査を行うことは時期尚早だとする意見にも一理ある。しかし、費用対効果が良いか悪いかの基準値を設定するために、何らかの形で国民調査は行わなければならない。これは決定事項だ。

 厚労省は専門部会で挙がった意見を基に、調査票をブラッシュアップしていく考えだ。今後、複数回にわたって専門部会で議論が続くだろう。ただ、調査を実現させるためには、「時期尚早」とされ続けてきた国民の議論を今こそ活性化させることが不可欠だと、記者は思う。

コメント26件コメント/レビュー

人の命はもっと自然に任せるべきです 余りにも薬に依存し過ぎます 年齢的に見ても私自身81歳を過ぎていますが、社会のために出来ることは限られてきました しかし少しでも役に立つようにしている今の努力を継続できることが私の生甲斐です 数年の命のために薬の力入りません 自分の意思で自分が生きられることが一番大切な時代でしょう
名教自然の言葉は私の恩師の言葉ですが、これからも私はこの言葉に沿い無理な薬だけに頼ることはしたくありません 社会のためになる努力はしていきます 花育てをして、道路のゴミ掃除、草むしり、子供の不良化を防ぐなどをして少しでも社会に貢献して行きたい このために健康を維持していきますが薬に頼ることはしたくありません 自然の中で過ごしたい (2017/08/07 05:46)

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「「延命治療にいくら払う?」国民調査に暗雲」の著者

内海 真希

内海 真希(うつみ・まき)

日経ビジネス記者

2009年日経BP社入社。医師・薬剤師向けの専門誌である日経メディカル、日経ドラッグインフォメーションを経て、2017年4月から日経ビジネス記者。電機、製薬、医療制度などを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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人の命はもっと自然に任せるべきです 余りにも薬に依存し過ぎます 年齢的に見ても私自身81歳を過ぎていますが、社会のために出来ることは限られてきました しかし少しでも役に立つようにしている今の努力を継続できることが私の生甲斐です 数年の命のために薬の力入りません 自分の意思で自分が生きられることが一番大切な時代でしょう
名教自然の言葉は私の恩師の言葉ですが、これからも私はこの言葉に沿い無理な薬だけに頼ることはしたくありません 社会のためになる努力はしていきます 花育てをして、道路のゴミ掃除、草むしり、子供の不良化を防ぐなどをして少しでも社会に貢献して行きたい このために健康を維持していきますが薬に頼ることはしたくありません 自然の中で過ごしたい (2017/08/07 05:46)

「公的医療保険で支払うべきか」と問う前に、「自分の所持金ならば延命治療にいくら払うか」と問うべきである。所持する財産によって、判断は分かれると思うが、相続税で払うぐらいならば、使えるだけ使って延命すると考える人が普通だと思われる。しかし、中には、死んでいく自分の延命に使うぐらいであれば、子孫に残したり、相続税で国家に貢献するべきだと考える尊厳死を望む人もいるのではないだろうか。その部分を十分に考慮した上で「公的医療保険で支払うべきかどうか」を議論するべきだと思う。今のままでは、長生きしたい老人と死を急いで自殺する若者との意識の乖離は進むばかりである。(2017/08/06 11:01)

私には、そもそも何故このような1回当たりの利用単価がとてつもなく高額な薬が保険診療扱いとして認められてしまったのか、そちらの経緯の方が気になりますが…。
高齢者拠出金負担が半端ないために、今や企業にとっての福利厚生のはずだった健保組合の保険料率が、協会けんぽの保険料率を上回り解散を真剣に検討することも珍しくなくなった。
残酷な選択ではあるが、一部の高額医療費支出者のために健保組合や協会けんぽ、そしてその受益者が共倒れになることは避けなければならない。
保険診療から外して民間医療保険で自衛するとか、がん治療に準じた運用も真剣に検討すべき時期に来ているのではなかろうか。(2017/08/04 12:01)

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5年前は(日本製を好む中国人の消費は)一過性のものだと考えていた。

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