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限界集落でも人は呼べる

2017年8月9日(水)

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全国に1万5000カ所以上あると言われる限界集落。高齢化が進むなかでも生き残るために奮闘している集落がある。様々な手を使いながら活性化しようと努力している。

 「限界集落」と聞いて、多くの人は高齢者ばかりで、貧弱な交通網しかなく廃れた場所だというイメージを抱くだろう。

 たしかに限界集落は、将来的にコミュニティーが消失する恐れがある集落を指す。人口の半数以上を65歳以上が占めることが「限界」の基準とされる。2007年の参院選で地域格差の象徴として取り沙汰され、地方衰退のキーワードとして定着した。全国に1万5000カ所以上あり、地方衰退の象徴とみられている。

 だが「限界集落は元気がないところばかり」だと結論付けるのは早計だ。なかには活性化するために取り組んでいる集落もある。

 限界集落で人材育成に取り組む特定非営利活動法人まちづくりGIFTの齋藤潤一代表理事は「最近のトレンドは集落で意欲のある人を探し、リーダーにすること」と話す。

 これまで都会から地方へ、変革するためのリーダーを招くことが多かった。ただ都会から限界集落へ移住してもらうのに、高額な費用がかかる。各地で人材獲得競争になっているため、より良い条件を提示しなければならなくなる。限界集落を抱える自治体は予算が潤沢にあるとはいえず、負担が大きい。

 それならば集落内に問題意識を持つ人が立ち上がり支援するほうが盛り上がり、成功する確率も高まる。

集落も名産品も守りきる

 そのひとりが宮崎県の小さな集落にいる。宮崎空港から高速道路を経由し、カーブが多い国道に乗り換え、走ること1時間半。小さな集落「大字塩見小原地区」がみえてくる。この20人ほどしかいない集落を活性化させようと取り組むのが黒木洋人氏だ。黒木氏はこの地区で生まれ育った。

 黒木氏がこの地区に日向市の名産「へべす」を使ったカフェ「カフェ森みち」を開店した。へべすジュースや自身が栽培したトマトパスタなどを提供している。へべすとは柑橘類で、すだちよりも果実が大きく、かぼすより香りがマイルドとされている。

 だが、へべすも集落同様に消滅危機にあった。日向市内で約80人の農家がへべすを育てているが、平均年齢が約70歳で、40歳以下が数人しかいない。収穫量も年々減少している。高齢の農家のなかには栽培をやめ、耕作放棄地になっているところもある。

 黒木氏も3代目のへべす農家で危機感を抱いていた。黒木氏は「へべすを軸に町おこしをすれば、栽培量も増やせるかもしれない。そのためには知名度を上げる必要がある」と考えた。

 そこで黒木氏は都市部から人を呼べるようにカフェを始めることにしたのだ。へべす以外にも地元産の野菜を使った料理を提供している。天気が良いとカフェのテラスを開放し、山林の景色が楽しめる。週末になると県外ナンバーの車も多く訪れるようになった。

 さらに、クラウドファンディングを活用して苗木のオーナーを募集し約150人が賛同した。収穫量を増やすためだ。「カフェでへべすの美味しさを体験してもらいへべすの栽培を守りたい」(黒木氏)。こうした取り組みでへべす栽培と集落を維持したい考えだ。

へべすも集落も維持するために奮闘する黒木和人氏。築80年の古民家を改装してカフェ森みち(写真:松隈直樹)

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「限界集落でも人は呼べる」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官