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東芝不正会計、旧経営陣が「報酬返上」しない理由

日本企業に共通するガバナンスの落とし穴

2015年8月17日(月)

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 不正会計問題に揺れる東芝。不正会計を指示した、あるいは見逃した取締役や執行役らは軒並み、一部報酬返上に追い込まれた。だが、処分の内訳を仔細に見ていくと、あることに気づく。報酬返上は「自主的」なものにすぎず、しかも現在の経営陣に限定されているのだ。

 今回の不正会計問題は2008年から継続していたことが、第三者委員会の調査報告書において認定されている。ところが、東芝が過去の経営陣に対して、報酬返上を迫っている形跡はない。

 東芝に確認したところ「役員報酬の返上はあくまでも自主的なもの」「(過去の役員への請求については)現時点で発表していることはない」(いずれも広報)との答えが返ってきた。ちなみに現時点で、過去の経営陣から自主的に報酬返上を申し出てきたケースもないとのことだった。

「クローバック条項」があれば違っていた

 経営者は、株主から付託を受けたプロフェッショナルであり、高度な役割を果たすことを求められるからこそ、高額な報酬を与えられる。そのプロが善管注意義務や忠実義務に違反して会社にダメージを与えたとなれば、企業や株主にしてみれば報酬を返してくれと言いたいところだ。ところが、現役経営陣で「自主的に一部報酬返上」という曖昧な処分にとどまり、過去の経営陣に至っては現時点で請求すらしていない。

 「クローバック条項があれば、話は違っていた」。役員報酬コンサルティングを手がけるペイ・ガバナンス日本(東京都千代田区)の阿部直彦マネージングパートナーは、こう指摘する。

 クローバック条項とは、大規模な業績修正や不正発覚時に、経営陣に対して過去に支給した年次賞与を返還させたり、権利移転前の譲渡制限株式などの支給を強制的にキャンセルしたりするといった内容を指し、契約にあらかじめ盛り込んでおく。特にリーマンショックによる金融危機以降、莫大な報酬を得ていた経営者への批判が高まったこともあり、欧米で導入が進んだ経緯がある。米国では法制化も検討されている。

 経営者が在任期間中の報酬や株価をかさ上げしようと不正な手段を使ったところで、将来、それが露見したら結局ペナルティーを支払わねばならない。一定の歯止め効果が期待できるというわけだ。今回もし東芝がクローバック条項を役員との委任契約に盛り込んでいれば、「自主的な報酬返上」などという曖昧な手段に頼らず、かつ過去に遡及して報酬返上を強制することができた。

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「東芝不正会計、旧経営陣が「報酬返上」しない理由」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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