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東電、川村新体制が抱える危うさ

2017年8月18日(金)

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今年6月、国が主導する形で東電の経営陣が刷新し、日立製作所をV時回復させた実績を持つ川村隆氏が新会長に就任した。川村会長は原発推進の立場を鮮明しており、国とそのスタンスを一つにする。国策民営で進んできた原発事業は、川村体制のもとで加速するかもしれない。そこに危うさはないのか。

 東京電力ホールディングスが従来の事業エリアを越境し、他の電力会社への攻勢を強めている。今年8月には中部電力のエリアで、9月には関西電力エリアで家庭向け電力料金を値下げすると発表し、7月には中部電力の主要顧客だった三菱自動車の岡崎製作所(愛知県岡崎市)の契約を同社から奪い取った。「東電が採算度外視で顧客獲得に動いている」。こうした声は以前から業界関係者の間で盛んに囁かれていたが、足元でその勢いは増している。

 背景に、東電が国と協議し5月に認定を受けた新たな経営再建計画(新々・総合特別事業計画)の存在がある。福島第1原子力発電所事故の処理費用を賄うため、「経済事業(主力の電力事業やガス事業など)」を拡大し、利益を確保する方針がここには示されている。

東電会長に就任した日立製作所名誉会長の川村隆氏(写真:的野弘路)

 再建計画を実現するため、今年6月には経営陣も刷新した。若手幹部が相次ぎ抜擢され、会長には日立製作所をV字回復させた実績を持つ川村隆氏が就任した。新しい事業計画と新経営陣の元で、東電は事業拡大に前のめりになっていると見られる。「東電は(新体制のもとで)必死になっている。怖い存在だ」。ある他電力の幹部はこう身構える。

 他電力が東電を恐れるのは営業面だけではない。東電が目論む業界再編も悩みのタネだ。今、焦点となっているのは原子力事業と、発電所で生み出した電力を各需要家に送る送配電事業の2つ。どちらも既存の大手電力にとって容易には手放せない重要な資産だ。再編が進むことで業界最大手の東電に自分たちの基幹事業が飲み込まれてしまうと危機感を強めている。

東電は原発推進の道具か

 電力市場は自由化が進んでいるため、競争激化と業界再編は当然起こり得る動きだ。競争により各社がサービスや料金を磨き、再編により事業の効率が高まれば電力業界全体の競争力は高まる。それは消費者にとっても恩恵となるだろう。

 だが、未曾有の原発事故を起こしながらも圧倒的な競争力を失わない東電が、こうした競争や再編の急先鋒になることに対しては懸念もある。

 原発事故後、国は東電に過半の資本を注入した。同社は民間企業である一方で、国が自ら望む施策を実現するための存在にもなりつつある。そんな企業が覇権を握れば、電力業界は依然として国の思惑に大きく左右される市場になってしまう。国が東電を手足のように使うことで、自由化という言葉とは裏腹に、新たな形の「国策市場」が誕生してしまうのではないかという恐れがある。

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「東電、川村新体制が抱える危うさ」の著者

飯山 辰之介

飯山 辰之介(いいやま・しんのすけ)

日経ビジネス記者

2008年に日経BP社に入社。日経ビジネス編集部で製造業や流通業などを担当。2013年、日本経済新聞社に出向。証券部でネット、ノンバンク関連企業を担当。2015年4月に日経ビジネスに復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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