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役職定年でへこたれなかった人たちの3パターン

2016年8月31日(水)

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 8月8・15日号の本誌特集「どうした50代! 君たちは、ゆでガエルだ」の取材では、多くの50代の社員や彼らの活性化に取り組む企業に話を聞いた。

 50代になると体力・気力は落ち始め、親の介護や老後資金の問題が持ち上がる。一方で年功序列を重んじる職場であっても年収も右肩上がりとはいかなくなる。こうした問題は彼らの責任ではない。大量入社の世代といえる彼らに十分なポストで報いるのは難しい。

 そこで十数年前から導入が増えたのが「役職定年」である。課長なら53歳、部長は55歳といった具合で、一定の年齢に達すると管理職を外される仕組みだ。金融機関などでは30年以上前から存在していたが、団塊世代が50代に差し掛かった2000年前後に導入が相次いだとみられる。

 取材した50代男性たちからはこの制度について実にたくさんの恨み節を耳にした。「モチベーションを根こそぎ持っていく仕組みだ。役職定年なんてなければ俺はもっと会社に貢献できた」「うちの会社では明文化されてないが、暗黙のルールになっている。単なる年齢差別だよ」などなど。

 だが、役員まで昇進し、対象にならなかった人たちを除いても、役職定年にショックを受けなかった人たちもいた。ここで彼らを3つに分類してみよう。30~40代の読者にとっては今後のライフプランの参考になれば幸いである。

平凡だったはずの自分に

 まず1つ目は「他社でも通用する武器を持っていた」である。武器は業務上培った技術や知識、人脈、資格などを指す。長年働いてきた現在の職場では課長止まりでも、実は労働市場における価値が高い人材である可能性はある。転職など検討もしなかった人は、自らの価値を客観視したことはないはずだ。

 最近大手メーカーを退職したAさん(55歳)もそんな1人だった。長年エンジニアとして研究開発や生産に携わり、自動車関連の特許を取得したこともあるという。それでもAさんは「割増退職金をもらえることになったので半年前に会社を辞めました。60歳の定年まで働いて受け取る退職金と同じ額でしたから」と話す。しがみつく必要がなかったのは、共働きで子供がいないという事情も大きかったそうだ。

 退職して驚いたのは「55歳でしかも平凡なサラリーマンだった自分にもずいぶん仕事のオファーがあった」ことだ。大企業出身者と中小企業のマッチングサイトに登録したところ、毎日のように案件を紹介されるようになった。現在はベンチャー4社と顧問契約を結び、週3~4日出勤している。収入は落ち込んだが、「必要とされていることがうれしい。趣味のサーフィンに思ったより時間が割けないのは残念ですが」とAさん。

 こうした50代人材の流動性は今後高まっていきそうだ。デロイト トーマツ コンサルティング執行役員の小野隆さんは「関連会社を含めた自社グループ内での適材適所には限界がある」と指摘する。小野さんは、取り引きや資本関係がない企業やNPOまでが参画し、シニア人材の流動化を図る「社内外循環型モデル」を提唱している。理論だけではなく、実際に複数の大企業、中小企業の人事担当者らとともに実現に向けた勉強会も立ち上げた。

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「役職定年でへこたれなかった人たちの3パターン」の著者

上木 貴博

上木 貴博(うえき・たかひろ)

日経ビジネス記者

2002年に筑波大学を卒業し、日経BP入社。「日経ビジネス」「日経情報ストラテジー」「日経マネー」編集部などを経て、2016年4月から現職。製造業を中心に取材中。趣味は献血(通算185回)。相撲二段。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官