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IBMが気象ビジネスに本気で参入したワケ

本社16階の「予報センター」にメディア初潜入

2017年9月11日(月)

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 日本IBMが今年3月から、企業向けに気象予測サービスを開始した。必要に応じて、異常気象などによる事業リスクを引き下げたり、天候を味方につけて売り上げアップにつなげる方法などもコンサルティングしたりするという。

 IT業界の巨人である「IBM」が今、なぜ「気象ビジネス」を手掛けるのか。不思議な取り合わせの理由を探しに、日本IBMの本社(東京・中央)を訪ねた。

日本IBMの「アジア・太平洋気象予報センター」では、気象予報士が気象予測データに異常がないか監視している

 「メディアの方をお通しするのは『本邦初』です」(広報担当者)。そう言われて案内されたのは、本社ビルの16階にある1室。「アジア・太平洋気象予報センター」と呼ばれるその部屋には、モニターがずらりと並んでいた。各画面には、世界各地の気象情報や気象予測データが色とりどりのグラフィックで表示されている。IBMが日本で展開する気象ビジネスの中核となるセクションだ。

 数人の気象予報士が3交代で24時間365日常駐し、予測データに異常がないかをチェックしているという。気象予報士は、外部から採用した人もいれば、社員で資格を取得した人もいる。仕事の傍ら猛勉強をして、合格率5%前後という狭き門を突破したというのだから、その「本気度」は半端ではない。

 この日いた2人の気象予報士は、日本周辺海域の気象や潮流、そして航空機の飛行ルート上の天候など、様々なデータの画面を開きながら、黙々と確認作業を進めていた。施設を訪れる前は電話が鳴り響き、大きな声が飛び交うような場所を想像していたが、意外なほど静かだ。邪魔にならないように写真撮影を済ませて、部屋を後にした。

世界25万カ所の気象データを収集

 米IBMは昨年1月、気象情報最大手の米ウェザー・カンパニーを買収した。「Google」「Yahoo!」などの大手検索サイトの天気情報や世界各国のニュース番組などに気象情報を提供する気象ビジネス界の巨人だ。IBMは公表していないが、買収額は2000億円余りに達するとの報道もある。

 世界各地に25万カ所以上ある観測地点から刻々と寄せられる気象情報と、世界各国の気象予報機関が保有する162に及ぶ気象モデル(シミュレーター)の予測データなどを基に、15日先までの天気を予測する。1時間ごとの気温や湿度、降水量はもちろん、風速や海温まで予測する。しかも1km四方ごと、という緻密さだ。さらに、地域ごとに半年先までの気温や天気の長期予報も手掛ける。

 IBMが気象ビジネスに参入したのはなぜか。日本IBMの加藤陽一ザ・ウェザーカンパニー ジャパン・リーダーはこう話す。

 「幅広い業種で気象情報を経営に役立てたいというニーズが高まっているからです。日本の今年の夏がまさにそうでしたが、集中豪雨や異例の高温や低温など、いわゆる『異常気象』が世界中で当たり前のように起きるようになっていて、企業の事業活動にも様々な影響を与えています。そうした事業リスクから会社を守るために必要なのが正確な気象予測データです。企業向けのソリューションやビッグデータ解析に強みを持つ当社にとっては、まさに打ってつけの事業でした」

 考えてみれば、どんな業種のビジネスでも、直接的・間接的に気象の影響を受けている。小売業やサービス業は気温や天気によって客数や売れ筋が変わり、農業や漁業は収穫や漁獲で影響を受ける。

 自然災害が発生すれば、製造業ではサプライチェーンや自社の生産拠点が打撃を受ける恐れもある。温暖化などの影響で、これまでの「経験則」が通用しない不規則な気象が世界各地で頻発しており、企業が思わぬ事業リスクにさらされる懸念は増している。そこに、IBMは目をつけたというわけだ。

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「IBMが気象ビジネスに本気で参入したワケ」の著者

吉岡 陽

吉岡 陽(よしおか・あきら)

日経ビジネス記者

2001年日経BP入社。日経ビジネス、日経エコロジー、日経トップリーダー、日経ビジネスアソシエを経て、現職。独自の強みを持つ中小ベンチャー企業や環境経営の取り組みなどを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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