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MRJは飛んだ「先」を描けるか

トヨタと苦楽を共にしたタクシードライバーの示唆

2015年9月15日(火)

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 「小牧の三菱航空機までお願いします。空港のところです」。9月2日の昼下がり、先輩と2人で小型タクシーに乗り込むと老齢のドライバーにそう伝えた。その2日前に案内が届いた、小型旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行に関する説明会に向かうためだった。通常ならば、名古屋駅から名古屋空港ビル内にある三菱航空機までは高速バスを利用する。ただ人数と荷物の多さ、先輩の足のケガを理由に、この日はタクシーを選んだ。

 「あなたら三菱さんの人ですか。飛行機がもうすぐ飛ぶもんね。あそこは堀越二郎さん(注:零式艦上戦闘機、通称零戦の設計者)の歴史があるでね」

 走り始めてほどなく、ドライバーがそう話し始めた。国産旅客機の生産が半世紀ぶりであること、これまでの開発スケジュールが遅れた経緯、もともとの三菱航空機の拠点には歴史ある時計台があること(注:同社は昨年、本社を空港敷地内に移転)などなど、彼はMRJにまつわる知識を披露してくれた。「お膝元の愛知県ではMRJへの関心がとても高いんですね」。相槌を打ちながら、私は先輩にそんな感想を漏らした。

 ところがこのドライバー、ただのミーハーなお爺さんではなかった。

クルマとともに育った機械屋

 ドライバーの話は徐々に三菱航空機や飛行機の話を超え、産業論や部品づくり、機械加工の話へと広がっていった。飛行機と自動車の量産ボリュームの違いや、機械からちょっと怪しい音や匂いがした時に工具1つで治す職人がいたことなど。もっと知りたくなる内容ばかりだ。

「どうしてそんなに詳しいんですか?」と尋ねると、彼は正体を明かしてくれた。「前に機械屋をやってましてね。トヨタさんの下請けとか、三菱さんとかに設備を納めていたんですわ」

 聞けば、社員数人の小さな会社だったという。まだNC機(数値制御機)と呼ばれる、コンピューター付きの機械が浸透しきっていない時代だった。トヨタ自動車とアイシン精機や豊田自動織機といった系列企業が大きくなるにつれて仕事は忙しくなり、「自然と教えられて、鍛えられていった」。トヨタは納期や品質にめっぽう厳しく、期待された精度とスピードが出るまで生産技術担当者が会社に居座ることも多々あったそうだ。「時々、ほかの自動車メーカーの仕事をうけると楽に感じてね」。懐かしそうに語るドライバーの話に引き込まれ、空港ビルにある三菱航空機までの40分はあっという間に過ぎた。

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「MRJは飛んだ「先」を描けるか」の著者

佐藤 浩実

佐藤 浩実(さとう・ひろみ)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社で電機、機械、自動車を6年間取材。13年4月に日経ビジネスへ。引き続き製造業を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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