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ロボット活用、公文式学習…認知症対策に新機軸

2050年には認知症有病者が1千万人超え予想も

  • 水野 孝彦

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2016年9月23日(金)

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 40歳を超えて既に数年が経つ記者のまわりでも、親や親戚に認知症の兆候がでてきて困っている、といった話を聞くようになった。

 2015年1月に厚生労働省が発表した推計によれば、2012年に462万人だった認知症の高齢者は2025年には1.5倍の700万人まで増加するという。さらに、九州大学大学院の二宮利治教授らの推計によれば(「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」)、認知症の有病率が上昇する場合、2050年には1016万人が認知症になっている可能性があるという。国立社会保障・人口問題研究所の推計(出生中位・死亡中位を仮定)によれば、2048年の日本の人口は9913万人と予想されている。国民のおよそ10人に1人が認知症という時代が到来する可能性もある。

 こうした中で、公文教育研究会では2004年から認知症重症化予防サービスとして認知症の高齢者向けに「学習療法」の提供を行っている。具体的には1日30分程度、童謡などの音読を含めた読み書き教材や足し算や引き算といった計算教材を使って脳を活性化することが狙いだ。教材は脳トレ(脳力トレーニング)で知られる東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授と公文教育研究会が共同開発した。既に約1600の介護施設などで1万2000人(米国の介護施設24カ所も含む)が、この「学習療法」を利用している。

 教材で学習すること自体も脳に刺激を与えるが、認知症の高齢者は基本的に2人1組で、スタッフ1人のサポートのもと学習療法を受けることで、3人が共通の話題でコミュニケーションを図れることも脳を活性化させるという。

「学習療法」の実施写真。2人1組で教材に取り組むことで、共通の話題でコミュニケーションを取れるようにしている

介護のコストを削減可能

 その効果は慶應義塾大学医学部の佐渡充洋講師らの研究として今年9月12日に発表された。認知症の高齢者は特に対策を施さなければ、日に日に症状は悪化していく。学習療法を受けなかった27人の認知症の高齢者の要介護度の平均は1年後に「要介護2」から「要介護3」に状況が悪化していたが、1年間学習療法を利用していた30人の認知症の高齢者たちの平均は、1年後にも「要介護2」の状態を維持できた。

 要介護度が「2」から「3」に上昇し、これまでより手厚い介護が必要になることを回避できれば、介護に掛かるコストをかなり抑制できる。もっとも現時点では、認知症の高齢者の介護度が下がると介護事業者が介護保険から得られる収入も減ってしまう。これでは学習療法に限らず、認知症の高齢者の介護度が上がらないように対策を講じるインセンティブが乏しいのも事実だ。利用者の要介護度の維持・改善を実現できた介護事業者を、報酬など何らかの形で評価する仕組みが大切だと感じた。

「学習療法」の教材。読み書き教材では、会話のきっかけになるように昭和のできごとや当時を思い出すエピソードも盛り込んでいる

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