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公園からゲートボールがなぜ消えたのか

流行に見る「お年寄り今昔物語」

2015年9月29日(火)

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 朝。家の近くの公園を通りかかった際に、ふとあることに思い至った。「そういえば最近、ゲートボールをしている高齢者の姿を見かけないぞ」。

 1990年ごろ、小学生高学年だった記者は毎日のように近くの公園で草野球に興じていた。今は亡き、プロ野球チーム「近鉄バファローズ」のホームスタジアムが家から近かった関係で、駅や路上でよく野球選手の姿を見かけた。ラルフ・ブライアント、阿波野秀幸、吉井理人…。プロ野球が身近な存在で、周りの子供は皆、野球に熱中した。ちなみに、メジャーリーガーのダルビッシュ有はすぐ近くに住んでいた。

 学校が終わった後の平日夕方。家に走って帰り、ランドセルを投げ出して、集合場所の公園に向かえば、三々五々にすぐに20人近くが集まり、そのまま試合を始められた。

 問題なのは日曜日と、たまに休みになる土曜日の朝だった。公園に近づくと、決まって「コン」という甲高い音が耳に届き、「ああ、また先を越されたか」と舌打ちをする――。そう。ゲートボールの高齢者は、公園の場所取りを巡る、強力なライバルだったのだ。

 お年寄りの朝はべらぼうに早い。こちらがどんなに早起きをしても、まったく歯が立たない。別の公園に移動しても、そこからも「コン」という音と、にぎやかな歓声が響いてくる。ゼッケン姿で楽しそうにプレーに興じる姿を、傍で恨めしそうに見ていたのを今でも覚えている。

 お年寄りになったら、誰しもゲートボールをするようになる。小学生の頃はそう思い込んでいた。ところが、最近、その姿をまったく見ないのである。

「小学生」vs「お年寄り」公園取り合いバトルの原因

 もちろん、小学生の頃と比べ、圧倒的に朝に公園へ行く頻度は減った。けれども、まったくゲートボールのプレー姿を見かけないどころか、どの公園にも当たり前のようにあった、ゲートボールの道具を入れる物置すらなくなっているのだ。

全国の公園ではどこでもゲートボールをする高齢者の姿を見かけたが…(写真=アフロ)

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「公園からゲートボールがなぜ消えたのか」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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