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日産が公開した「自動運転椅子」

SNSの拡散狙った”確信犯”

2016年10月6日(木)

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 「くくっ」

 2016年9月27日16時過ぎ、日経ビジネス編集部。席の近い後輩記者から失笑が漏れたのに気づいてそちらを見ると、彼もニヤニヤしながらこちらに顔を向けていた。

 「もしかして、日産のリリースを見たの?」

 記者が聞くと、後輩は頷きながら答えた。

 「これ、めちゃくちゃ面白くないっすか?」

 2人とも自動車業界の担当で、ほぼ同時に日産自動車からメールでニュースリリースを受け取っていた。タイトルは、「日産自動車、自動運転技術から着想を得た『プロパイロットチェア』を公開」。そそられるタイトルにつられてリリースに貼られたリンクをクリックすると、下の動画を見ることができた。

日産自動車が公開した「プロパイロットチェア」の使用イメージ

 「プロパイロット」とは、同社が8月24日に発売した新型ミニバン「セレナ」に搭載した運転支援技術のことだ。高速道路の単一車線でなら、前方を走る車両に自動で追従して走ったり止まったりできる。渋滞時などでドライバーの負荷を低減する(あるいは衝突を減らす)ことを狙ったもので、同社はこれを「自動運転技術」と呼んでいる。

行列待ちの負荷を低減?

 この技術から「着想を得た」という椅子は、確かに人間に操作されることなく動いていた。使い道はいろいろと想定されているようだった。例えば、人気飲食店の外で待つ顧客がこの椅子に座って行列待ちをすれば、順番が回ってくるまで椅子が自動で行列の前へと進んでくれる。

 動画を見た瞬間、筆者の頭の中はクエスチョンマークだらけになった。一番の疑問は、日産がなぜわざわざこのような椅子を作って公開したのか。もちろん、セレナの販売促進のためだとは思ったが、あまりに馬鹿げていて(失礼!)すぐには解せなかった。

 椅子が自動で動く仕組みも知りたかった。本当にプロパイロットと同じシステムを搭載しているとしたら、前方(店の前の行列の場合は横方向)の状況を認識するために単眼カメラを積んでいるはずだった。「椅子にそのまま積んで機能するのかな。そもそもコストが掛かりすぎるし…」。馬鹿げていると思いつつ、そんなことを真剣に考えてしまった。

 ちょうど同日に日産の広報担当者に会う予定があったので、ざっくばらんに聞いてみた。

 「これ、一体、何なんですか?」

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「日産が公開した「自動運転椅子」」の著者

池松 由香

池松 由香(いけまつ・ゆか)

日経ビジネス記者

北米毎日新聞社(米国サンフランシスコ)で5年間、記者を務めた後、帰国。日経E-BIZ、日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)、日経ものづくりの記者を経て、2014年10月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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