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「22時消灯」以外の正しい残業の減らし方

2017年10月20日(金)

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 最近、夜の繁華街に会社員の姿が減っている。日経ビジネス9月25日号特集「寝るな日本人」の取材でこの夏、東京や大阪などの繁華街を歩いた。日本人の会社員の代わりに、外国人観光客が楽しんでいる姿が目立った。その変化を感じたのが大阪・ミナミだ。

 ミナミは大阪市浪速区と中央区にまたがる繁華街。道頓堀川沿いのグリコのネオン看板などが有名で、記念撮影する観光客が多い。路上には大型観光バスが横付けし、警備員が大勢の観光客を誘導するほどにぎわっていた。飲食店を取材すると、夜遅くまで飲み歩く会社員が減り、外国人の売り上げに頼りだしているという。

 ミナミでクラブと飲食店などを経営するA氏は「もう日本人の財布をアテにしたら売り上げは見込めない。終電がいっちゃうと、お客さんはぱっといなくなる。閉店時間の前倒しも考えている」と言う。

 夜遅くまで飲み歩く会社員が減った原因として挙げられるのが働き方改革だ。定時で仕事が終わり残業が減った。かつては残業を言い訳にして飲みに出掛けた会社員も多かった。だが企業のウェブサイトで「残業を減らします」といった宣言をしている企業も多く、家族に早く帰宅できることがバレている。さらに残業が減ると給与が減り、企業の交際費の制限も厳しくなり、飲み代を捻出しづらくなった。

 そもそも働き方改革は生産性を高めることで、同じ業務量を短時間でこなそうというのが趣旨だった。だが生産性は高まらずに、残業代を減らすための道具になってしまっている。中には22時に電灯を消して帰宅を促し「働き方改革」を標榜するような企業まで現れた。これでは収入が減るばかりで、夜の街は寂しくなる一方だ。

 では、どうすれば残業を減らしつつ生産性を高めて収入を減らさずに済むのか。多くの企業が取り組んでいるこの課題に対し、参考になりそうな事例がある。

 そのひとつが革製品の販売やシェアハウスの運営などを手がけるボーダレスジャパン(福岡市東区)だ。田口一成社長は9時間勤務を厳守することにこだわる。同社は9時始業で、18時終業が定時。どうしても残業が必要な時は19時まででそれ以降は認めない。残業に頼らない給与体系のため、ダラダラ残って働こうという雰囲気がない。

 残業をさせないためのポイントは朝礼にある。始業時に1人ずつ朝からどの作業に何時間かけるのか発表する。それぞれ「デザイン検討に1時間」「資料作成に1時間30分」といった具合だ。8時間分の業務内容を発表する。

 マネージャーがメンバーの発表内容を聞きながら、明日に繰り越したり、時間配分を変えたりする指示を出す。田口社長は「朝に宣言した内容ができないのは格好悪いので皆がむしゃらに働く」と話す。

 がむしゃらと言っても、8時間無言で働き続けるわけではない。むしろよく話す。業務中に悩みごとができると、周りの人に相談ができる。1回あたり15分ほどで、招集がかかると全員手を止めて一緒に考えなければならない。もし相談で自分の業務が明日へ持ち越しになっても構わないルールになっている。田口社長は「作業スピードはどんなに頑張ってもそうあがらない。むしろ、アイデアに行き詰った時に1人で考えると間違えた判断をしてしまい、気づくまでの時間が無駄。短時間でメンバーが集まって話をした方が結果的に時短になる」と話す。

 田口社長は新卒でミスミに入社。新規事業の立ち上げなどで毎日深夜まで働いていた。その時の経験から「人間は集中できる時間が限られている。長く働いてもダラダラしてしまうだけ」と話す。

2007年の起業時からこうした働き方を取り入れてきた。今期の売り上げは33億円を見込み、台湾や韓国など海外事業も強化していく考えだ。

悩んだ時にすぐ相談できることで、生産性を高めている(写真:菅敏一)

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「「22時消灯」以外の正しい残業の減らし方」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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