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JR九州のななつ星、乗って感じたプライスレス

2016年10月27日(木)

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 10月25日、九州旅客鉄道(JR九州)が、東証一部に上場した。上場セレモニーの会場に現れた青柳俊彦社長の左胸には、星の胸章が光っていた。他の役員や社員が着けている赤いJRマークの胸章とは違う。記者が尋ねると、青柳社長は満面の笑みでこう答えた。

 「ななつ星の乗務員と同じ気持ちでね、これを付けてきたんですよ」。

 ななつ星──。正式名「ななつ星in九州」は、同社が2013年から運行する豪華寝台列車だ。九州中を回る周遊型なので、クルーズトレインと呼ばれる。工業デザイナーの水戸岡鋭治氏のデザインで、九州の木材をふんだんに使っている。現在募集中の来年3~9月の料金は、3泊4日コースで1人当たり63万~95万円(2人1室の料金)、1泊2日コースで30万~45万円(同)と高額だが、個室が14室で定員がわずか30人のため、予約困難なことで知られる。海外の観光客にも好評で、JR九州の名を国内外に広めた立役者として、語り草になっている。

 JR九州は1980年代から、現在は会長を務める唐池恒二氏の下で、「ゆふいんの森」「あそぼーい!」「A列車で行こう」など、ユニークで観光の目玉となる列車を走らせてきた。ななつ星は1つの集大成と言える。

 青柳社長の胸に光る星は、そのななつ星の乗務員が制服で身に着けているものだ。

 来年は民営化から30年を迎えるタイミングでの上場。そんなハレの日に、ななつ星の胸章を付けて現れたことに、記者は思わず納得した。それは、ちょうど1カ月ほど前に、ななつ星に客として乗る機会を得ていたからかもしれない。

クルーズトレイン「ななつ星in九州」。深い赤紫のような、茶色のような車体は、自然の青さに溶け込んで特別な雰囲気を醸し出す

 「1泊2日でも数十万円!それって高すぎじゃない」。3年前、記者が報道でこの列車を知ったときは、本当に驚いた。私は鉄道の旅が好きでJR九州の列車にも数多く乗っていたが、その料金に卒倒した。そして、一部の富裕層向けのビジネスで、一生乗ることはないと思った。

 それがちょうど1年前、たまたまJR九州の社員からななつ星について聞く機会があった。ななつ星とはなんなのか、どんな思いでこの列車を走らせているのか。その時に出てきた言葉は、「地元の方々に支えられている列車である」。自分が抱いていたイメージとのギャップを感じて、純粋に興味を抱いた。

 仕事として取材したり、撮影したりしても、乗客として乗ってみなければ、本当のところは分からない。だが、ななつ星は予約困難で、乗るためには抽選に当たることが必須となっている。多分一生乗れないだろうから、当たらないのを前提で応募だけでもしてみようと思った。

 その後、抽選の結果が発表され、キャンセル待ちを知らせる封書が届いた。かすかな期待はあったが、やはり無理だったかとがっかり。だが、10日間ほどして、知らない番号から携帯電話に電話がかかってきた。「今回のご旅行に参加していただけることになりました」という女性の声に思わず驚いて、「行きます!」と叫んでしまった。

コメント3件コメント/レビュー

個人的には豪華客船のシステマチックな娯楽(コストパフォーマンスが高い)が好きだけれども、アナログかつ情緒的な贅沢と考えれば、高齢富裕層に人気なのもうなずける。うん十万円も支払ってしまった後で、良かったと無理やり自分を納得させるケースも多いだろうけれども(^_^;)。(2016/10/31 15:42)

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「JR九州のななつ星、乗って感じたプライスレス」の著者

河野 紀子

河野 紀子(こうの・のりこ)

日経ビジネス記者

日経メディカル、日経ドラッグインフォメーション編集を経て、2014年5月から日経ビジネス記者。流通業界(ドラッグストア、食品、外食など)を中心に取材を行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

個人的には豪華客船のシステマチックな娯楽(コストパフォーマンスが高い)が好きだけれども、アナログかつ情緒的な贅沢と考えれば、高齢富裕層に人気なのもうなずける。うん十万円も支払ってしまった後で、良かったと無理やり自分を納得させるケースも多いだろうけれども(^_^;)。(2016/10/31 15:42)

同業者から見れば、車両運用効率、保守経費、人件費等々を考えてあの価格設定は赤字必至、逆に言えば誠におトクな商品と言えましょう。九州に人を呼び込む広告宣伝費というところ。でも、JR九州が関連事業としてエリア外に活路を求めるホテル、物販飲食業を見ると地の利のないガチンコ勝負、上場でその真価が問われることでしょうね。(2016/10/27 14:17)

河野紀子さま
ななつ星の記事は、実際に乗ったかたの記事が読みたかったので食い入るように読みました。
私はななつ星に2013年の12月に乗ってからすっかり魅力にハマり、
昨年5月に念願叶って2度目の乗車を果たしました。
記事で印象的なところは「旅行の価値は行った本人にしか分からない」の一文です。
水戸岡鋭治さんの温かくて趣あるデザイン、それを実現した職人、家族のように寄り添うクルー、
「よく来たね。九州自慢の列車と風景を楽しんで」とななつ星に手を振る沿線のかたがたなど、
人はこんなにも優しくなれるんだ・・・と感じたのは大きな喜びでした。
そんな気持ちを写真と共にツアーデスクに届けて以来、年に数回ななつ星見物に行くこともあって
ツアーデスクやクルーのかたがたとは今でも仲良くさせていただいています。
河野紀子さんがもう一度ななつ星に応募するならば、是非とも3泊4日コースをお奨めします。
さらなる発見と喜びが待っていることでしょう。【ペンネーム 夢色の三十路坂】(2016/10/27 13:25)

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