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ほとんどの顧客の顔を覚えているスーパー

2016年10月28日(金)

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 「ポイントカードはお持ちですか。すぐにお作りできますがいかがでしょうか」

 コンビニエンスストアや家電量販店をはじめ、どこへ行ってもポイントカードを持っているかどうか聞かれる。何枚もポイントカードを持っていて、財布が膨らんでいる人も少なくないだろう。

 ポイント還元の歴史を紐解くと、本来は情報提供の謝礼だった。企業は顧客の行動履歴を分析してサービスを向上するために使う。消費者には情報を提供してくれた謝礼として、ポイントを提供していた。常連客の育成に詳しいブライアリー・アンド・パートナーズ・ジャパンの村上勝利社長は「多くの日本企業はポイントを値引きのツールとして使うにとどまっている。情報の対価はたくさん払っているのに活用しきれていない」と指摘する。

 たしかに家電量販店をはじめ、ポイントが値引きの道具に使われている企業は多い。そんななか、値引きとしてではなく、常連客を育てるために活用している企業もある。

ポイント使用率が9割を超える

 そのひとつが福岡県柳川市にある「スーパーまるまつ」だ。まるまつはたった1店しかないが、年商12億円で経常利益率約4%とスーパーマーケット事業としては高水準の利益をしっかりと確保できている。

 その高収益を支えるのが9000人の常連客だ。レジにおけるポイントカード使用率は9割を超える。つまり売り上げのほとんどは常連客によるもの。松岡尚志社長は「来店客のほとんどの顔は分かる」という。町で会っても声を掛けられることが多いほど地元に密着している。

 たしかに松岡社長が店頭にいると、親しげに声を掛ける客が多かった。まるまつは50年以上営業しているため、松岡社長を幼少期から知る人も少なくない。毎日訪れるという70歳代の主婦は「尚志くん(松岡社長)のことは、こんなちっさかときから知っとうよ。もうずっと毎日顔を見てる」と話す。

 もちろん柳川市にスーパーがここにしかないわけではない。大手スーパーやドラッグストアチェーンが出店し、周辺だけでも10店ほどあり熾烈な争いが続く。

 そのなかで、まるまつが支持されているのは価格ではない。ポイントカードから蓄積した情報を元に品揃えをしていることにある。来店客は欲しいものが必ず見つかる。

 例えば醤油は30種類以上あり、地元メーカーを中心に陳列している。大手スーパーで見かける大手食品メーカーの商品は隅におかれている。ほかにも地元の人が好む、練り物も豊富にある。これらは常連客が買うので、長期在庫となる死に筋商品がないのだ。「データを見て仕入れているので、外れようがない」(松岡社長)。

福岡県柳川市内にあるスーパーまるまつ。しょうゆだけでも地元メーカーを中心に30種類以上ある。(写真2点、松隈直樹)

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「ほとんどの顧客の顔を覚えているスーパー」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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