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ゆうちょ銀、貯金限度額引き上げで成長できるか

政治が歪める成長戦略

2015年12月7日(月)

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国内最大の金融機関、ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げが注目されている。来年の参院選を見据え、大票田である郵政グループに配慮した自民党の提言が事の発端だ。一方、歴史的な低金利が続く中で、やみくもに資産規模を増やすだけでは収益の向上につながらない。資産の拡大につながる貯金限度額引き上げは、ゆうちょ銀の成長に本当に資する戦略だろうか。

 ゆうちょ銀行は貯金残高約177兆円、全国約2万4000の郵便局網を持つ国内最大の金融機関だ。その貯金限度額の引き上げが認められるかどうかが注目されている。

 国内銀行でゆうちょ銀に次ぐのは三菱東京UFJ銀行(預金残高約126兆円)。他行に比べてあまりに大きなゆうちょ銀が、その郵便局網を通じて貯金を集めすぎないよう、現在は1000万円の上限が設定されている。民業圧迫を避けるための典型的な業容規制だ。

 この上限額を数百万円程度引き上げる案が浮上している。自民党は6月、貯金限度額を引き上げるよう求める提言をまとめた。これを受け、政府の郵政民営化委員会がその是非を議論している。

 自民党が限度額引き上げに積極的なのは、来年に参院選を控えているからだ。全国津々浦々にいる郵便局長ら組織化された郵政票は魅力的だ。これを獲得したい思惑があるとみられる。

 引き上げに賛成する日本郵政グループ関係者は、今まで以上に積極的に貯金を集めることでゆうちょ銀が成長していくシナリオを描く。

上場記念セレモニーに参加したゆうちょ銀の長門正貢社長(写真:北山宏一)

資産規模を拡大しても収益は容易に拡大しない

 しかし、このシナリオに対しては疑問が浮上する。

 ゆうちょ銀は自らの資金運用の約半分を国債に頼っている。各国の中央銀行がこぞって金融緩和に踏み切り、歴史的な低金利が続く現状では、貯金の増加はそのままでは収益の向上につながりにくいのだ。ゆうちょ銀は外国債券など国債より利回りの高い有価証券に資金を振り向ける方針だが、高い利回りを求めればその分、リスクは高くなる。リスク資産へ資金をシフトし始めた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、株安などの影響で7~9月期に8兆円近い損失を計上した。

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「ゆうちょ銀、貯金限度額引き上げで成長できるか」の著者

杉原 淳一

杉原 淳一(すぎはら・じゅんいち)

日経ビジネス記者

2005年、日本経済新聞社に入社し、大阪経済部に配属。2009年に東京に異動し、経済部で銀行や農林水産省、財務省、金融庁などを担当。2015年4月から日経ビジネスで金融機関を中心に取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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