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海外機関投資家の最大懸念は何か

ギリシアでも米国利上げでもない警戒材料

2015年7月1日(水)

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 6月以降、市場の話題の中心は審判の日が近付いたギリシアと、米国利上げ議論が注目されたFOMC(連邦公開市場委員会)の二つに絞られていた。どちらも「織り込み済み」と言われながら、いざその現実感が高まるにつれて、為替市場や株式市場などの変動幅を拡大させる要因となっていたことは周知の通りである。

 特に、先週末ユーロ圏財務相会合から支援打ち切りを宣告されたギリシアは、今週はじめの各国市場を強烈に揺さぶった。ECBは緊急流動性支援の増枠を拒絶して、同国は今週はじめに資本規制導入を余儀なくされた。6月末のIMFへの支払いも不能となり、仄かな期待感が消え去って「デフォルト・ユーロ圏離脱」の可能性に直面した市場は、動揺を隠せない。

 確かに同国のユーロ圏離脱の現実性は否定出来ない。但し、EU内部で信頼感ゼロとなったのはチプラス政権であってギリシア国家そのものではない。EUが同国の政権交代を待っているのは公然の秘密である。7月5日の国民投票は、国民が支援条件を知らないまま行われるという無茶ぶりであるが、実質的に政権支持・不支持を問う投票になる可能性もあろう。

ユーロ圏離脱前に起こり得るドラマ

 メディアは6月末のIMFへの不払いを「デフォルト」と呼び、それがユーロ圏離脱への扉を開きかねない、と報じているが、IMFは「デフォルト」という言い回しを回避しており、格付け会社もIMFへの不払いはデフォルトと認定していない。ユーロ圏離脱の前に、まだドラマは起こり得る。

 実質的な問題は、7月20日に満期が到来するECB保有のギリシア国債の行方だろう。それまでにチプラス政権が退陣し、暫定政権の下で支援再交渉を行うというのがEUの狙いではないか。時間は限られているが、欧州委員会のモスコビッシ委員が「交渉の窓口は開いている」と述べ、ECBのドラギ総裁が「緊急流動性増枠議論の再開は有り得る」と述べているのは、その伏線だろう。

 EUにとって、交渉相手としてのチプラス首相は見捨てることが出来ても、ロシアとの対立関係が続く限り、NATOメンバーとしてのギリシアを簡単に見捨てる訳にはいかない。同国をユーロ圏に留めるための長期戦は、覚悟の上である。

 だがどんなドラマが起きるにしても、ギリシアの過大な負債問題はEUの重荷として7月以降も永続することは確実である。ユーロという共通通貨の構造的な脆弱性も、あらためて認識されることになった。市場がギリシア問題を忘れられる日は、そう簡単にやって来ない。今回のドタバタ劇は、EUの長期的課題が露呈したものと捉えるべきだろう。

 また米国の利上げに関しては、FRBのイエレン議長がFOMC開催後の記者会見で「利上げは緩慢なペースになる」と強調して市場不安を和らげることに腐心したが、「ゼロ金利からの離陸」は誰にとっても未知の体験である。どんなベテラン投資家であっても、不安の種は尽きないだろう。

 利上げのペースがイエレン議長のご宣託通り「緩やかに」進むかどうかは、蓋を開けてみないと解らない。緩やかな利上げである限り、資産バブルを回避するというFRBの目標は奏功しないという見方もある。

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「海外機関投資家の最大懸念は何か」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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