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日本に押し寄せる海外リスク

市場流動性低下の夏にご用心

2015年8月3日(月)

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 なかなか変動が収まらない上海株や今後も迷走を続けそうなギリシア、そして再び下落基調を辿り始めた原油相場や強い売り圧力を受ける資源国通貨など、実体経済や資本市場を取り巻く環境は決して安定的とは言い難い。加えて米国では年内利上げの可能性が高まっており、世界中の企業経営者や資産運用者にとっては落ち着かない日々が続いている。

 2012年末以来、円安・株高のムードで何とか不況感を振り払ってきた日本経済にも、足許で失速感が感じられる。4-6月期GDPは前期比マイナス2%台といった民間予測も散見されており、政府・日銀が描く「下半期からの回復基調シナリオ」には警戒信号が灯りつつあるように見える。

 日本経済を下押しする海外要因は、必ずしも予測不可能ではなかった。中国リスク、ギリシア騒動、原油価格不安、米国利上げなど、いずれも周知のストーリーであった。だが、それらの要素は資本市場で「ノイズ」として処理され、実体経済に対する影響度は軽微と見做されてきた。そこには、長らく量的緩和のぬるま湯に安住してきた市場の読みの甘さがあったのかもしれない。

 確かに短期的な視点からすれば、中国もギリシアも原油も、深刻なシステミック・リスクを誘発するようには見えなかった。狼狽売りの局面を上手く捉えた投資家も少なくなかっただろう。だが中期的に見れば、ギリシアや中国は病巣を覆い隠しているだけの話であり、噴火の再燃が避けられないことは明らかであり、商品市況や新興国経済の低迷が長期化する可能性も高い。

 特に新興国に関しては、ロシアが欧米制裁強化や原油価格急落で失速、ブラジルは政治不信を払拭することが出来ず、インドも構造改革期待が先行して中身がなかなか追いつかない。トルコの対IS参戦は、新たなリスク台頭への懸念から通貨急落をもたらしている。

 そんな中で、先進国経済の成長もスローペースから脱することが出来ない。にもかかわらず、英米は年内利上げへの前傾姿勢を益々強めている。

一時的ではなさそうな世界貿易の縮小

 少し気になる数字がある。世界貿易量の分析で定評のあるオランダ政府の経済政策分析局(CPB)が定期的に公表している統計だ。その調査に拠れば、5月の世界貿易量は前月比1.2%減少し、4月の0.2%減少に続く不振に陥っている。ブレやすい単月の数値ではなく3か月の移動平均で見ても、5月の数字はマイナス1.3%と前月のマイナス1.2%から低下している。

 これは「鈍化」ではなく明らかに「悪化」である。CPBの数字には、特に新興国経済を中心に輸出入ともに減少傾向が強まっていることが示されており、ドル高による新興国からの資本流出や中国経済不振の波及、欧州問題の心理的な影響、そして商品市況の低迷などが、世界経済へのボディ・ブローとなっている様子が窺われる。世界貿易の縮小は、一時的ではないのかもしれない。

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「日本に押し寄せる海外リスク」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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