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「国民への視座」を失い始めた金融政策

日銀は「総括的検証」で独立性希薄化へ

2016年9月1日(木)

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2016年、ジャクソンホールでのシンポジウム開幕を前に行われた会合で話すデモ集団のメンバー(中央)。左はカンザスシティー連銀のジョージ総裁。右はクリーブランド連銀のメスター総裁(写真:AP/アフロ)

 真夏の米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティー連銀主催のシンポジウムは、毎年8月恒例の各国中央銀行幹部らの集会であるが、そこで常に注目されるのがFRB議長の講演である。今年もその例外ではなかった。

 イエレンFRB議長は「利上げへの論拠が強まった」と述べて、市場に高まり始めていた年内利上げへの観測を裏付け、早ければ9月にも利上げする可能性が浮上してきた。筆者は、もう少し物価動向を見極めてから12月に総合判断、との相場観を変えていないが、明日発表される8月の雇用統計の内容でその時期が早まることも有り得よう。

 この利上げへの前傾姿勢に、米国市場では為替、債券、株式ともにやや驚いたような反応を示した。少なくとも8月中盤までは「FRBは当面利上げしない」との見方が大勢であったからだ。そのムードは、米国主要株価指数の最高値更新、米国社債の活況、新興国市場への大量の資金流入といった現象にも表れていた。

 こうした運用資金の動向は、世界的な低成長とデフレ懸念の下で「超低金利状況は長期化する」との相場観に基づくものであった。ブレグジットの悪影響を懸念する英中銀は量的緩和を再開し、日銀は「総括的検証」で新たな緩和の枠組みを検討しているとの観測が強まっている。欧州中銀(ECB)も年内に追加緩和を行う確率が高い。米国の利上げ時期が遠のいたとの思惑で、ドル高圧力から解放された新興国にも利下げ余力が生まれている。

 そんな市場の安心感に厳しい牽制球を投じたのは、8月16日の講演で「9月の利上げは可能だ」と述べたFOMC主流派の一人であるニューヨーク連銀のダドリー総裁であった。その翌日に公表された7月FOMC議事要旨では、利上げに関してメンバー間で意見対立が生まれていたことが判明、続いてフィッシャー副議長も「物価や雇用は目標に接近している」と利上げへの支持姿勢を示したのである。

 そして真打登場となったジャクソンホールのシンポジウムで、イエレン議長が利上げに前向きな姿勢を示す決定打を放ち、市場は近々の利上げを意識せざるを得なくなった。因みに議長講演のテーマは「金融政策のツールキット:過去・現在・そして未来」という題目であり、利上げ時期に関するトピックスはあくまでその「前振り」に過ぎなかったが、市場の関心が主題よりもその序曲にあったのは明らかだ。

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「「国民への視座」を失い始めた金融政策」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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浜田 健一郎 ANA総合研究所 シニアフェロー・前NHK 経営委員長