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市場を荒らす中央銀行

その舞台裏で悪化する経済的病状

2016年10月3日(月)

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米国ではアップルなど企業の寡占・独占体制が復活し始めている(写真:ロイター/アフロ)

 古い話で恐縮だが、筆者がマーケットで売ったり買ったりの仕事を始めた頃、「市場荒らし」の代名詞として「チューリッヒの子鬼たち」という言葉がよく使われていた。当時、為替市場の乱高下を招く元凶に、スイスの銀行ディーラーたちの暗躍が挙げられていたのである。その言葉の由来は、1960年代に急激なポンド売りに悩まされていた英国労働党の重鎮ジョージ・ブラウン氏が、彼らの投機的行動をいまいましげに語ったところから来たもの、と言われている。

 1980年代に入ると、国際資本市場では米国債や欧州不動産など海外資産を買いまくる日本の「セイホ」が、市場を動かす新しい代名詞になった。日本の投資家しか買わない「スシボンド」や「フグボンド」といった特殊な債券が登場したのもこの頃だ。

 そして1990年代に入ると欧米のヘッジ・ファンドが急速に注目され始め、ジョージ・ソロス氏が英中銀との「通貨戦争」に勝利したことで一躍有名になったヘッジ・ファンドが「世界の投機筋」に祭り上げられることになった。いまでも経済メディアは、市場の乱高下が起きると「ヘッジ・ファンドが動いた」と説明することがしばしばである(ただし実態は不明なことが多い)。

 21世紀に入ると、投資銀行が俄然市場の脚光を浴びるようになる。金融市場だけでなく原油や不動産にまで彼らの活動範囲は拡大し、証券化商品やCDSなどの技術開発を伴ったバブルを引き起こし、遂には2008年にリーマン・ブラザースの破綻を通じて世界的な金融危機を引き起こすことになったのは記憶に新しい。

 そして欧州ではギリシアが財政赤字を虚偽申告していたことが判明し、その不安がスペインやポルトガル、アイルランドそしてイタリアにまで波及して、ユーロ危機を引き起こしてしまった。各国が直接の市場参加者であった訳ではないが、市場が大荒れした原因を作り出したのが、PIIGSと呼ばれた上記5カ国の政府であったことは言うまでもない。

市場を不安定化させる中央銀行

 かくして、戦後の国際金融市場では常に「市場荒らし」の存在が注目され、その行動が資本主義にとっての厄介なリスク要因と見做されてきた。いま、その範囲は金融システムに時限爆弾を抱える中国政府やブレグジットの方向性を探る英国政府などにも拡大しており、欧州や中東をめぐるロシア、トルコ、サウジアラビア、イランといった国々が撒き散らす地政学リスクからも目が離せない状況になっている。

 だが今日、同時に「市場荒らし要因」として忘れてはならないのが中央銀行である。昨年は、人民元や株価のコントロールに失敗した中国人民銀行の政策運営上の稚拙さが目立ったが、今年は利上げをめぐって態度がふらつく米連邦準備理事会(FRB)、追加緩和するのかどうか明確でない欧州中央銀行(ECB)、そして「総括的検証」で市場を疑心暗鬼に陥れた日本銀行など、中央銀行の不明瞭な姿勢が市場を不安定化させ、それが実体経済の回復を邪魔している印象が否めない。

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「市場を荒らす中央銀行」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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