米ニューヨークの国連本部で演説した安倍晋三首相。日本として安保理の常任理事国入りをめざす考えを表明し、積極的に国際貢献していくと宣言したものの、結果的に国際メディアが注目したのは、「日本は難民より国内問題が先」というメッセージでした。

幼子を連れ一家で命からがら逃げてくる大量の難民。その様子を報じ続けている世界のメディアを通じて発信される日本のメッセージとして、本当にそれは意図したものであり、かつ、ふさわしいものだったのでしょうか。
実際に何をどう伝えていたのかを細かく見ていくと、受け止め方に大きなギャップを生む表現の存在にたどり着きました。今回はこの問題をいつものように動画を見ながら、考えてみたいと思います。
ネット動画はアイデアの宝庫、それでは今週もいってみましょう。
伝えられるメッセージの内外格差
日本時間9月30日朝、NHKがニューヨークから生中継もした安倍首相の記者会見。そこで外国人記者による質問への答えに、大きな注目が集まりました。
国際メディアはこれについて、
- 「安倍首相:日本は難民支援の用意はあるが、受け入れはしない」(ワシントンポスト/AP通信)
- 「安倍首相、日本はシリア難民受け入れより国内問題の解決が先」(ロイター通信)
- 「日本、シリア難民受け入れの前に、国内問題の対応が不可欠と話す」(英ガーディアン)
などといったタイトルで報じました。詳しくはハフィントンポストにまとめられています(安倍首相「難民受け入れは?」と問われ「女性の活躍、高齢者の活躍が先」)。
これに対して、日本国内の報道は当初、このメッセージを大きくは捉えませんでした。
- 「安倍首相:内閣改造「10月7日」を明言…「骨格は維持」(毎日新聞)」
など会見後の報道は国内政治の話がメインで、会見では資金援助と安保理の常任理事国入りについて語ったことに触れた程度でした。
もっともこの難民問題への対応については、記者会見に先がけて行なわれた国連総会における安倍首相の演説に含まれており、記者会見で初めて内閣改造の情報が明らかにされたこともあって、そのような扱いになったことは想像に難くありません。
実際、国連の演説で安倍首相が、日本として、難民問題に注目し、今年は約970億円(昨年実績の3倍)の資金を拠出して援助することを表明。日本が安全保障理事会の常任理事国入りを目指す考えを明らかにしたこと自体は、その前の段階で報じられています。
阿部首相も含め日本の多くの政治家は、質問内容に対して内容とは関係のない返答をします。質問をした国会議員や記者も、その返答は私の質問の答えになっていないとして、再度先の質問の答えをしつこく要求するということをしない。どうしてなのか腹立たしく不思議でならない。(2015/11/18 14:14)