• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

中韓首脳会談でもかなわぬ韓国電池業界の思い

ホワイトリストという罠、日本電池産業界への影響は?

2018年1月11日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

昨年12月、文在寅大統領が訪中して習近平国家主席との中韓首脳会談が実現した(写真=YONHAP NEWS/アフロ)

 新年おめでとうございます。本年も、お付き合いのほど宜しくお願い致します。

 中国では、 エコカーとして補助金を受けるためには、搭載した電池がホワイトリスト登録企業から供給されていることが義務付けられている。2017年11月24日の本コラム、「政治外交まで絡めた電池業界の混乱と思惑」の中で、ホワイトリストに関して、以下のように記述した。

 「中国のホワイトリストには、韓国勢のサムスンSDIもLG化学も認定されていない。韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備によって、政治的圧力がかかり~中略~。韓国側もその状況に甘んじているだけではないようだ。政治的圧力に対しては政治的解決を図ろうとする動きがあると、韓国の報道機関であるハンギョレが明らかにしている。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が11月13日に、中国の李克強首相に対して、「ホワイトリスト」対象外となっている韓国2社の認可要求をしたとのこと~中略~。それに連動して、両国の実務級が、本問題を協議していたことを確認したとの報道もある。12月に開かれる中韓首脳会談以前に、互いの関係修復を図る目的で両国がこの問題を協議したということは、好転する可能性も出てきたと言えるかもしれない。12月の中韓首脳会議を注目したい」。

 果たしてその結果はどうだったのか? 1月8日の朝鮮日報によると、12月の中韓首脳会談で両国政府はTHAAD配備による対立を解決することで合意したものの、韓国製の車載用電池に対する差別が依然続いているとのことで、トップ会談の中でも解決策は見出されなかったようだ。

 経緯を遡れば、韓国政府は2016年7月にTHAAD配備を決定した。論争が本格化したのは同年12月だったとのこと。中国政府が補助金支給対象の電気自動車(EV)リストを12月29日に発表した際、当日午前には韓国メーカーのリチウムイオン電池(LIB)を搭載した5車種が含まれていたという。しかし、その午後に5車種を削除した修正リストが発表されたとのこと。LG化学、サムスンSDIのLIBを搭載した東風汽車の4トンEVトラック、陝西汽車の6トンEVトラックがリストから削除された。

 一方で、EVリストを中国政府がわずか半日で覆した12月29日には、中国外務省で THAAD問題を担当していた陳海アジア太平洋局副局長が訪韓していたという。結局、同日に中国工業情報省が発表した「第12次エコカー補助金支給目録」に、韓国製LIBを採用したEVが全く含まれなかったとのこと。このため、中国政府がTHAAD配備に対する報復として、韓国メーカーを差別していると判断された。それ以降、韓国メーカーのLIBを採用したEVは一度もリストに含まれていないし、それは今も続いている。

 中国ではEVの価格の最大半分まで補助金が支給される。これまで補助金詐欺が横行したのも、補助金額の大きさが極めて魅力的であったからだろう。ともかく、補助金なしでは現実的にEV販売は困難だ。すなわち、補助金支給対象から外れた韓国製LIBを使っていては、そのEVに消費者の関心は向かない。2017年初めには具体的な事例が生じた。北京現代汽車が中国で発売を予定していた「ソナタ」のプラグインハイブリッド車(PHV)には、当初、LG化学製のLIBを搭載予定でいたが、急遽、中国CATL製に変更したという事実で裏付けられている。

 またLIBの材料技術に対しての制限も特異な政策であった。中国政府は2016年1月、正極にニッケル・コバルト・マンガンを主原料とする三元系NCMのLIBを適用した電動車を補助金支給対象から除外した。

コメント3件コメント/レビュー

民主的でない自由主義でもない国の金目当てに群がるのも資本主義なのだろうが、しかし、こんな国の金を目当てにしないと資本主義が維持されないというのも、悲しい現実。無視できない札束の前には、自由も民主主義もないのですね。(2018/01/11 13:12)

「技術経営――日本の強み・韓国の強み」のバックナンバー

一覧

「中韓首脳会談でもかなわぬ韓国電池業界の思い」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

民主的でない自由主義でもない国の金目当てに群がるのも資本主義なのだろうが、しかし、こんな国の金を目当てにしないと資本主義が維持されないというのも、悲しい現実。無視できない札束の前には、自由も民主主義もないのですね。(2018/01/11 13:12)

稀土類元素の騒ぎのときと同じで、日本の製造業の技術革新で、中国政府がその恣意的な政策運用でまた赤恥をかきかねないと言う、示唆でしょうか? LIBが何時まで事業としてPayできるのかも、興味を覚えます。アフリカでの深刻な環境破壊を知ると技術革新で一刻も早く、LIBの次世代へジャンプして欲しいと思います。(2018/01/11 09:18)

>半導体、太陽電池、液晶、家電、有機エレクトロルミネッセンス(EL)の二の舞というのは、あくまで最終組み立てメーカーのシェアとして見た場合の状況であり、むしろ使用特許の数や部品、素材などのサプライヤーとしての日本メーカーへの依存度が上がっている分野とみるべきでしょうね。そうでなければそれらサプライヤーが軒並み最高益を更新している説明が付かないですし(2018/01/11 08:04)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

2018年のヒット商品は食・睡眠・運動の3つを中心に動いていきます。

髙田 明 ジャパネットたかた創業者