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窮地のテスラに立ちはだかる自動車トップ

2018年から本格化する熾烈なEV競争の先は?

2018年2月8日(木)

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(写真=picture alliance/アフロ)

 昨年後半から、米テスラの「モデル3」が生産地獄に陥っている状態、すなわち当初の量産計画通りの生産台数には全く届かず四苦八苦している状態が報道されてきた。その中には、自動車業界の競争意識、電池業界のビジネス戦略、そして大きな投資を要求されてきた部材メーカーの悲喜こもごもが盛り込まれている。

 遡れば2017年6月に、テスラは中国の上海市に電気自動車(EV)の生産工場を建設する方向であることを報じた。その場合の条件としては現地企業との合弁が前提とされていたが、果たして順調に進んでいるのか。現在の米国における状況を考慮すれば現実性があまり感じられない。

 CEOのイーロン・マスク氏は、電動車、とりわけEVの最大市場となる中国で巨大工場を建設すると述べていた。2018年の生産キャパは中国巨大工場の稼働分も含め 全世界で年産台数50万台の計画を掲げた。現在の生産台数との乖離が大きいだけでなく、そもそもこのような大量のEVを本当に量産できるのか、根本的な問題があるのではないだろうか。

 テスラは17年3月に中国ネット大手のテンセントから5%の出資を受けている。そして、同年4月にマスク氏が訪中した際には汪洋副首相と会談したとされている。もともとテスラは14年に中国市場に参入した。その後の16年には15年の3倍以上の売上高を記録した。米国からの輸出のため、関税と輸送費が課せられる格好であったが一大ブームを巻き起こしたことになる。だが、一定数が市場に出回った後には飽和感が漂い、頭打ちになったことも記憶に新しい。

 そのような中で、米国からの輸出よりも中国での現地生産に踏み切れば相応のメリットが出ると言う試算は正しい。だが、そこには想定外の誤算があったようだ。それは、35万台のバックオーダーを抱えていると言いながらも、それに見合った量産技術と生産体制の整備が進んでいないままでの生産をしているような実態だ。すなわち、本格的な生産技術が伴っていないという欠陥である。

 米国ネバダ工場だけでの量産台数としては週5000台ペースの生産を計画してスタートしたのだが、生産地獄に至ったことで17年7月に発売開始した直後には、その生産計画を17年末までと一旦延期した。さらに1月に入ると達成時期を18年4~6月期までと2度目の延期をアナウンスした。

テスラが陥っている罠

 2017年の第3四半期こそ売上高は前年同期比で8%増加したと言うが、1~9月間の営業損失は売上高の11.5%に達したとのこと。象徴するように、17年12月上旬の日本経済新聞の夕刊には、「テスラ暗雲、冷める投資家」というタイトルの記事が掲載された。

 それによれば、17年7月に出荷を開始した量産型EV「モデル3」の生産が計画を大幅に下回っていることが株価に大きく影響したという。17年7月から9月期までの「モデル3」の生産台数は当初計画であった1300台の2割に留まり、260台しか生産できなかったとのこと。しかも納車先は社員または会社関係者にのみだったという。

コメント6件コメント/レビュー

EVシフトというが、本気なんだろうか。特にドイツのようにエンジン車で優位にあるところがそんなに簡単に転換できるとも思えない。イギリスやフランスはすでに自動車業界自体が死にたいなので、電動化を前面に出して他国の自動車産業をけん制しているだけだろう。ドイツにしてもディーゼルがダメになって、ハイブリッドで日本勢に遅れているのを取り返すためにEVシフトと言っているだけのような気がする。なにか機会があればエンジン車に方向転換するのではないか。それとも、EVではなく電動化と言っているので本音ではハイブリッド(プラグインハイブリッドかな)で日本勢と勝負する気になったということかもしれません。もしかすると日産の可変圧縮のような新しいタイプエンジンをひそかに開発してそこで勝負する気かもしれません。
△アメリカの自動車メーカーはドイツや日本のメーカーに比べて技術的に大きく劣るのであまり怖くないように思います。テスラと同じで電動化の量産でつまずくような気がします。まあ、テスラとはつまずくところは違うでしょうけどね。(2018/02/08 21:17)

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「窮地のテスラに立ちはだかる自動車トップ」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

EVシフトというが、本気なんだろうか。特にドイツのようにエンジン車で優位にあるところがそんなに簡単に転換できるとも思えない。イギリスやフランスはすでに自動車業界自体が死にたいなので、電動化を前面に出して他国の自動車産業をけん制しているだけだろう。ドイツにしてもディーゼルがダメになって、ハイブリッドで日本勢に遅れているのを取り返すためにEVシフトと言っているだけのような気がする。なにか機会があればエンジン車に方向転換するのではないか。それとも、EVではなく電動化と言っているので本音ではハイブリッド(プラグインハイブリッドかな)で日本勢と勝負する気になったということかもしれません。もしかすると日産の可変圧縮のような新しいタイプエンジンをひそかに開発してそこで勝負する気かもしれません。
△アメリカの自動車メーカーはドイツや日本のメーカーに比べて技術的に大きく劣るのであまり怖くないように思います。テスラと同じで電動化の量産でつまずくような気がします。まあ、テスラとはつまずくところは違うでしょうけどね。(2018/02/08 21:17)

既に報道されている表層的な事ばかりでした。テスラがなぜ故それほど苦労しているのか?自動車メーカーとテスラの違いを指摘して「EVは誰でも作れる」論を検証するような内容だと読み応えがある事でしょう。(2018/02/08 11:54)

著者の悔しい思いはよく伝わってきました。
日本車メーカーの方が心配です。(2018/02/08 11:25)

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