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サムスン、LGの2強と対峙する日本の立ち位置

信頼性や耐久性を訴求できていないジレンマ

2016年2月25日(木)

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 最近、「日本のものづくり力が低下した」ということが話題になるケースが多い。確かにグローバルな競争において苦戦している分野は多い。しかしその一方では、工業製品の信頼性・耐久性をはじめ、伝統工芸文化、匠の世界など、他国の追随を許さない領域も少なくない。

 すなわち、「ものづくり力」が低下したのではなく、その価値の発信の仕方や競争戦略が不足しているのだろうと思う。最大の課題の1つは、製品の信頼性・耐久性の強みを十分に訴求していないことではないかと筆者は考える。

家電業界勢力図変遷の5つの理由

 とりわけ、家電製品では冷蔵庫、洗濯機、薄型テレビ等、日本の強いブランド力と技術力で得意分野であった領域が、グローバル市場では影をひそめている。今や韓国のサムスングループとLGグループがシェア上位を占めるに至っている。そしてそこに、中国系企業の製品が徐々にシェアを伸ばしてきているのが現状だ。

 事実、サムスンとLGは両社とも、2015年第4半期の家電事業の実績では数百億円の営業利益をたたき出したとされている。2013年に市場投入した900リットル級冷蔵庫、2014年に投入したプレミアム掃除機、2015年に投入した洗濯機などが、世界市場のシェアを押し上げた。

 北米の家電市場ではサムスンがトップシェア、LGが3位ということが韓国勢の堅調ぶりを物語っている。2016年はエアコンで大きな波が押し寄せると言われている。この領域でも、韓国2強は攻勢をかける。サムスンの無風エアコン、一方のLGは、人の動きを感知する追跡型エアコンが話題になっている。

 なぜ、このような勢力図になったのか。それには大きく5つの理由があるように思う。まず第1に、韓国の2強がそれぞれに商品企画と製品性能で力をつけ、日本の製品に見劣りしなくなってきたこと。加えてこの2強がお互いをライバル意識し、切磋琢磨の競争意識でお互いをけん引し高めてきたことがあげられる。

 第2に、消費者の購買意欲がどういう指標で求められているか、すなわち国や地域の文化や行動様式を分析することで、消費者の購買意欲を掻き立てるマーケティングに余念がないこと。オリンピックのスポンサーや、展示会でのプレゼン力、各国の空港での大々的な広告は本当に目立つ。このように、広報活動やマーケティング力で群を抜いていることも大きく作用している。

 第3に、先行投資して先行利得を得ようとする経営戦略。拙速で失敗するケースもないわけではないが、経営判断は日本に比べてはるかに速い。液晶や有機EL(エレクトロルミネセンス)などのディスプレイや半導体など、巨額な投資が必要な場合では、ことさら積極果敢に断行する。

 第4に、デザインと使い勝手に関する商品企画と設計。これもマーケティングから流れてくる結果ではあるが、重要視している観点である。国や地域が異なれば、好まれるデザインや機能も違うからだ。

 そして第5に、アフターサービスの充実である。故障診断や故障修理にかける時間を極力短くし、消費者の怒りや不満を生じさせないような安心感を提供する努力が伺える。消費者が困った時にこそ、どこまでサポートすることができるかどうかは、次の購入意欲に大きく影響することを念頭に入れてのことだ。

コメント6件コメント/レビュー

韓国電気メーカーに部品納入する会社に所属してます。
なのでちょっと擁護に聞こえるかもしれませんが
耐久年数(数年で画質が悪くなる)は、買い替え需要を喚起する賢い(汚い)戦略な気がします。
新製品を買う場合、賢い消費者以外は店頭での第一印象と価格で選びネットで買います。
数年後の画質劣化は、SNS系の新製品レビューにあまり反映されませんからそれもクリア。
恋人と選びと同じですね。で数年後には入れ替える(色々劣化しますから)。
そうでないと大規模投資した工場が維持できない。
そういう汚いマーケテイングが日本は下手だった。という事ではないでしょうか。(2017/01/13 08:09)

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「サムスン、LGの2強と対峙する日本の立ち位置」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

韓国電気メーカーに部品納入する会社に所属してます。
なのでちょっと擁護に聞こえるかもしれませんが
耐久年数(数年で画質が悪くなる)は、買い替え需要を喚起する賢い(汚い)戦略な気がします。
新製品を買う場合、賢い消費者以外は店頭での第一印象と価格で選びネットで買います。
数年後の画質劣化は、SNS系の新製品レビューにあまり反映されませんからそれもクリア。
恋人と選びと同じですね。で数年後には入れ替える(色々劣化しますから)。
そうでないと大規模投資した工場が維持できない。
そういう汚いマーケテイングが日本は下手だった。という事ではないでしょうか。(2017/01/13 08:09)

液晶テレビで韓国製がそれほど劣化があるとは知りませんでした。今では、日本メーカーの液晶テレビでも韓国製のパネルを使っているところは多いはずなのですが、同じメーカーで持久力に差があるのでしょうか。日本メーカーは購入時になにが条件をつけているのでしょうかね。
▽同じパネルを使っていても持久力に差がでるとすると、それは設計の差しかありません。液晶については知識がないのですが、半導体につては、設計の仕方で同じICを使っても寿命や故障率が変わってくることがあります。ある種のノウハウなのですが、それほど秘密と言うわけではないと思います。そのような設計方法を教える有料セミナーとかもあります。一つ考えられるのはコストの問題です。寿命が長い設計をすると製品コストが高くなる可能性が大きいということです。それも設計者の腕しだいではあるのですが、まあそのあたりが原因なのでしょうかね。(2016/02/29 21:21)

製品が良いのだから売れるはず」というおごりはシャープが典型的な会社だ。液晶に限らず、空気清浄機でも電子レンジでもシャープは良い製品を出していたが、「驕れる者は久からず」を教訓としていなかった。多くの社員が胸を張って「我が社の製品は他とは違う!」という言葉は複数の社員から何回も聞かされた。あれから10年も経っていないのにシャープの経営が破綻する姿を見ようとは!シャープ以外の日本のの会社にも似た様な企業文化が根付いているのだろうと思う。対岸の火事として見ているか、それとも他山の石として自らの襟を正す切っ掛けとしているか。記事に書かれている液晶テレビの劣化が事実としたら、ホテルなどには売り込み易いはずだ。アメリカは何百室もあるホテルはどの都市にもゴロゴロあるから、例えば売り込みで敗れた相手に数台只で「劣化の比較用に使ってみてくれ」と渡せば良い。値段は韓国製の方が2割程度安いかもしれないが、それでも明らかに何年か後には得するシミュレーションも用意すれば鬼に金棒だ。日本企業は自社製が優れている点を宣伝する事は出来ても、競合相手を貶す事に慣れていない。それは自信のなさの現れでもあるのに、そう思っていないから負ける。相手の弱点(傷)に塩をすり込むくらいのことを平然と出来ないくらいなら営業には向いていない。孫子も「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と言っている。営業員は自社製品のみならず、競合の製品も長短全て理解した上で、自社の強火を武器に勝ちやすい対象(顧客)から始めたら良い。私はiPhoneも2台目だが、1台目も2台目も電池の保ちが悪い。多分日本製以外のリチウムイオン電池が使われているのだろう。これも劣化の差をiPhoneユーザ達に知らせれば、いずれアップルに対して「日本製電池の入っているiPhone」を要求するようになる。アップルがそれに応えようが無視しようが、アップル以外の店で電池交換する時に「日本製」を電池交換の前提にすれば、波が立つ。iPhoneの評価をする組織や個人にも「電池の劣化の差」をどんどんレポートしてもらえば良い。資金的に援助することが問題であれば、比較テスト製品の提供でも良い。どんどん事実を世界中のユーザに知れ渡らせれば良い。嘘をついてはいけないが、事実に基づく性能差はどんどん利用しない手はないのだ。(2016/02/27 17:25)

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三品 和広 神戸大学教授