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シャープ身売りで混迷するパネル業界

勝てる事業戦略の構築と人材確保が大きな柱

2016年3月10日(木)

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 シャープの今後は、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に委ねられた格好だが、これからがシャープの試練とも受け取れる。鴻海が良かったのか産業革新機構が良かったかの議論はいまだに多い。一方では、鴻海の買収案に乗ったシャープに対しても、賛成意見と反対意見がそれぞれに多くある。

 その鴻海がシャープの議決権を約66%握ることで、完全なる子会社と化した形で運営される。事業再建と構造調整、役員の大幅入れ替え、人員整理に至るまで、シャープの思い通りにはならない道のりが待ち構えている。

日韓中台、液晶事業の激戦化

 グローバルな液晶市場で見ると、今後は日本のジャパンディスプレイ(JDI)、韓国サムスンディスプレイ、同LGディスプレイ、台湾鴻海・シャープ連合、それに中国メーカー各社のつばぜり合いとなるだろう。

 既に、低価格を武器にした中国メーカーの躍進により、マーケットでの市場シェアには大きな変化が生じている。このことを勘案すると、シャープの復興がどこまで可能かについては、とても楽観的に観ることができない。

 液晶テレビでもその傾向は類似している。サムスン電子の液晶テレビが中国で勢いを保っていたのはせいぜい3年ぐらい前まで。2013年以降からは、中国ローカルメーカーの薄型テレビが急成長した。その理由は、中国の液晶パネルの性能が向上したこと、それとともにパネル価格の低下が下支えをした。

 液晶パネルのように中国メーカーの価格攻勢で、市場が大きな打撃を受けた事例は少なくない。代表的なものに太陽電池があった。1999年に創業し、2007年から08年にかけて業界トップとなったドイツQセルズ、さらに米国の上位メーカーの経営破たんが近年相次いだ。2012年、Qセルズは韓国ハンファグループに買収された。

 リチウムイオン電池業界も似たような構図で進行している。小型モバイル用でのマーケットシェアは、韓国サムスンSDI、パナソニック、韓国LGケミカルと続くが、香港に本社を置く中国Amperex Technology Limited(ATL)をはじめとする中国メーカーの価格攻勢で、世界シェア上位メーカーの利益率は急速に低下した。

 今後液晶テレビにおいて日本勢が競争力を取り戻すためには、日本の製品の耐久性を武器にマーケティング活動すべきことを、2月25日公開の前回のコラムで述べた。

 そして、日本勢がこの液晶事業で復活するシナリオは3つと考える。1つは、ハイエンド系に注力した戦略で、4Kから8Kへとリードし、先行利得を享受するビジネスモデルの拡大である。但し、このシナリオは中国勢に対抗する韓国勢も同じ考えであるはずなので、韓国勢を上回る高度な戦略が必要だ。

 2つ目は反対に、ローエンド系やミドルレンジ系でも戦略を持つことだ。すなわち、中国ローカルメーカーの価格攻防と戦うことを避けるわけにはいかないというシナリオである。そこまで展開しないと太陽電池と同じようなことが起こりかねないからだ。

 そして3つ目には、有機EL(エレクトロルミネセンス)を絡めた統合戦略の構築である。どういうタイミングで有機ELとの事業バランスをとっていくかということがカギとなる。そして、そのロードマップを示しながら、積極的に顧客開拓を行っていかなくてはならない。

台風の目となる有機EL

 有機ELにおいては、米アップルを中心にした大手顧客との契約が取れるかどうかが、今後の大きな指標となる。この構図の中で、上記メーカーやグループの試練がそれぞれに続く。

 その有機ELにおいても非常に悩ましい課題がある。有機ELに対する投資攻防と開発競争、事業競争である。アップルが2018年からのスマートフォンに有機ELを適用すると表明してから、大きな競争の舞台が提供されていることになる。

 韓国のサムスンディスプレイは2007年に有機EL事業を開始してから10年近くになる。小型ディスプレイの分野では圧倒的な強みをもつ。LGディスプレイも大規模投資とともに、有機ELテレビの事業を着々と進めており、サムスンが踏み込めていないテレビ事業で独走している。さらに、スマホ用途用に早期に投資する判断も下している。

 JDIも開発投資を進めて事業化への足掛かりを構築中だ。鴻海・シャープグループも事業化の機会をうかがう。既に韓国勢の10年近くになる事業推進に対して、どう向かっていくのかがカギとなる。この分野では、まだ中国ローカルメーカーの足音は聞こえてきていない。

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「シャープ身売りで混迷するパネル業界」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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