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東芝、シャープなどから見る技術経営の重要性

成功と失敗の分岐点にあるものは?

2017年3月23日(木)

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 東芝が崖っぷちに立たされている。不正会計に始まり、米原子力子会社ウエスチングハウスの原子力発電事業が大きな重荷となって、上場廃止のリスクも生じるほど深刻な事態を迎えている。

 一方、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の軍門に下ったシャープだが、現在はホンハイの経営戦略と共に業績が回復しつつある。

 この2社は、いずれも2000年ごろまでは優良企業であったのは事実であり、また技術系学生の就職人気度では上位にいた企業であった。しかし、そういう企業が何故、ここまで低落したのだろうか。

 ホンダとサムスンに在籍して技術経営に関わった経験から眺めると、多くの原因が見えてくる。技術経営側の視点から、分析してみたい。もちろん、技術経営だけが要因で低落したわけではなく、あくまでもその1つと考えているが、掘り下げてみることにする。

企業の盛衰分類

 企業の成功と失敗の事例をあげれば枚挙に暇がないが、代表的な事例をまとめてみると、以下の図のように表現できる。上段の2つは成功に導いている事例、一方の下段は逆に失敗や破綻に向かった事例である。

企業戦略の差異に伴う明暗の事例

①事業モデル転換で奏功

 成功した事例の典型的なケースは、まず第一に、カメラやフィルム事業を最大の事業としていた富士フイルムが医療分野へ大きく舵をきったことが挙げられる。既存事業の後退を早期に予測し、戦略を見直し、早期に成長事業を立案、実行したことが成功の要因であろう。パナソニックの自動車用機器事業への大きな舵取りもこれに類似する事例である。

②事業モデル拡大で奏功

 事業モデル拡大で成功した事例で言えば、筆者が2004年まで在籍していたホンダはその典型だろう。町工場からの起業で、二輪事業を手掛かりに、四輪事業、そして船外機、発電機、芝刈り機などを扱う汎用事業を創出した。ホンダではモビリティ事業という切り口でだと、移動体ならばどれでも当てはまることから、二足歩行ロボットに関しても30年に及ぶ開発から事業化を推し進めている。

 また、創業者の本田宗一郎が生前語っていた「いずれは空を飛びたい」という熱い思いは時代を超えて、2015年に航空機の飛行のお披露目に至り、そして航空機事業の事業化に漕ぎ着けた。1986年の基礎研究センターでの飛行機の研究開発着手から、おおよそ30年の時空を超えて実現したことになる。

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「東芝、シャープなどから見る技術経営の重要性」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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