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戦略の欠如で陥落した日本の民生用リチウム電池

2016年4月28日(木)

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 4月14日のコラム「戦略は不変ではなく随時見直してこそ生きる」では、製品戦略のあり方を、いわゆる顧客が一般ユーザーとなるB to Cにおける領域に関して述べた。本コラムでは、一般ユーザーが顧客ではないB to Bのビジネスにおける製品戦略のあり方について述べてみたい。

 この場合、B to Cとは異なり、デザイン戦略や新価値ワールドの形成は対象から外れる。一般に、製品供給側はグローバルに見れば、複数社が存在するので、その中での競争が強いられる。

 製品群の中では、高価格で売れるものもあれば、高価格では売れないものもある。前者の場合は、性能や機能、信頼性や耐久性で競合他社に対して大きな優位性を持つ場合に限られる。

 例えば、サムスンディスプレイやLG化学の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネル、あるいはソニーのスマホ用カメラやCMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーはその類だ。そのソニーの両製品とも熊本工場で生産されているため、今回の熊本地震で大きな打撃を受けている。一日も早い復旧を願っている。

 一方、後者の事例をあげればきりがないが、液晶パネルや民生用リチウムイオン電池(LIB)、車載用LIBは代表的な事例である。

民生用LIBの製品戦略事例

 民生用LIBのマーケットシェアを見ると、2007年までは三洋電機、ソニー、パナソニックの日本勢が圧倒的に強かった。それは技術力やブランド力で日本勢が明らかに有利だったからである。

 しかし、2007年を迎えると下図のように日韓の逆転が起こることになる。これにはシェア逆転に向けた戦略シナリオが韓国側にあった。サムスンSDIでは、まず大きな目標を立てたことから始めた。

 どのようにしたらトップの三洋に追いつき追い越せるかの課題に対し、常に戦略的に考えていた。ともかく性能や品質面で劣るならば、追いつくことはできない。ならば、そこは譲れないわけで一所懸命そこに注力し、弱い部分を地道に克服していった。顧客開拓のための活発なマーケティング戦略、コストダウン戦略など考えられる多くの展開を試みたのである。

民生用LIBのグローバル市場シェアの変遷

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「戦略の欠如で陥落した日本の民生用リチウム電池」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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