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サムスン移籍で実感した人材流動の重要な意味

人材流動が当たり前の外国籍企業 低迷する日本企業

2016年6月9日(木)

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 大卒の正社員採用率が50%を切るなど、こと就職に関しては憂鬱な状況下にある韓国で、ここ数年、若者の格差拡大が大きな問題になっている。そのような中、大手財閥にめでたく就職しても安泰ではない韓国企業。それだけに、採用の仕方や自身の仕事への取り組みに関しても、多様性がとりわけ目立つ。

韓国の人材採用パターンの多様性

 韓国の、とりわけ大手財閥企業の人材採用は多岐にわたる。サムスングループでの大卒以上の採用を例にとると、当然ながら毎年の定期採用、随時国内外から採用する形態の中途採用、国内外の他企業からのスカウト、海外留学組を追跡調査し有能な人材の一本釣りなど、様々な方法が混在している。それだけに、役員も社員も多国籍化している。

 サムスングループ全体での定期採用は、大卒以上で約1万人、高卒技能系で約2万人である。大卒以上は、本人の専攻や希望を反映し、なるべくミスマッチが出にくいような配属に心がける。

 しかし、それでも統計的には1年後に10%、3年後には30%がサムスンを去る結果となっている。そうした新入社員達が早期に去る理由は主に2つ。1つは、サムスンの仕事の厳しさを入社して実感することで、もっと厳しくない公務員や他企業へ転職するケースである。

 そしてもう1つは、入社直後はほぼ全員と言っていいほどの目標である役員任用というキーワードに対し、周囲を見渡すと自分にはチャンスがなさそうだと、初期段階で見切りを付けて去るケースだ。既に、このような段階で人材の大きな流動が起こっている。逆に流動が起こることは、それだけ流動を受け入れる器が市場にあるとも言える。

 2番目の随時国内外から採用する形態の中途採用であるが、事業拡大、あるいは新規事業開拓に伴って活躍できる人材を積極的に採用する場合が大半である。こういった案内を見て、他企業からの応募は後を絶たない。もちろん、サムスン以外の財閥大手も同様に行うことで、サムスンから応募する場合も当然ながらある。

 筆者自身も韓国内での中途採用者の面接、およびロシアなど海外での中途採用者の面接も実際に行った。この経験によってわかるのだが、韓国内や海外勢の応募者各自のキャリアは大きく誇張される。採用に結びつくようにと面接では強く主張されるのだ。

 3番目の国内外の他企業からのスカウトは御承知の通りである。事業拡大や新事業着手に関して、役員幹部、中堅社員を中心にスカウトする活動は活発だ。それも国内に留まらず、欧米、日本、アジア諸国からスカウトする。

 技術部門で言えば、企業での実績、特許や論文など多岐に調査し、必要とあれば様々な角度からアプローチして本人との交渉に相当なエネルギーを投じる。

 ましてや日米欧などで事業売却、リストラといったタイミングではより一層交渉しやすくなるので、様々なタイミングを伺う。このようなケースでは、双方にとって非常に意義あるイベントとなる。

 であるから、サムスングループ役員全体の15~20%は韓国人以外の外国人である。それほど多いことから、2012年4月には外国人役員のための集中研修を、ソウルにおいて初めて実施し、以降も外国人役員間の事業共有と交流を図っている。

 4番目の、海外留学組を追跡調査し有能な人材の一本釣りも、人事政策面で大きな役割があると同時に、功を奏している。筆者がサムスンSDIに在籍していた時点でも、日米の大学の博士課程に在籍する韓国人留学者のリストを作成すると共に、研究内容や属性を顧慮して選抜し、直接面接に出向き採用すると言う一本釣りをしていた。そのような採用活動にも余念がない。

コメント5件コメント/レビュー

>しかし、それ以降、韓国のサムスングループやLGグループの躍進、そして台湾や中国企業の成長などにより、日系の強さの度合いが薄れるどころか、数千億円もの赤字を数年にわたって計上した事実は記憶に新しい。

それは多くの技術者達が、韓国に渡って、日本の技術を流出させたからじゃないですか?何か、移籍することの良い点を並べて、そういう行為を正当化してるように思いますが?(2016/06/09 15:53)

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「サムスン移籍で実感した人材流動の重要な意味」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>しかし、それ以降、韓国のサムスングループやLGグループの躍進、そして台湾や中国企業の成長などにより、日系の強さの度合いが薄れるどころか、数千億円もの赤字を数年にわたって計上した事実は記憶に新しい。

それは多くの技術者達が、韓国に渡って、日本の技術を流出させたからじゃないですか?何か、移籍することの良い点を並べて、そういう行為を正当化してるように思いますが?(2016/06/09 15:53)

賛成です。そのためには、厳しい競争社会になることも覚悟する必要があります。できる人はできる人なりに、そうでない人はそれなりの給与体系になることも覚悟し、でも、その範囲内で満足できる生活が可能なら、よしとする、というところでしょうかね。会社は人を選べるけれど、エリートだけではない雇用者一般に会社の選択肢が少なすぎるというのが低流動性社会の問題だと思います。(2016/06/09 15:04)

8年ほど前ですが、一時休養のため海外短期留学をしているサムスン社員がいました。拙い英語でのコミュニケーションでしたので、詳しいことまで聞けませんでしたが、やはり社内競争が激しく花形部署に行けない、人間関係に苦労している、そのため一時休養に来ていると伺いましたが。。筆者の近くにそういう方がたまたまいらっしゃらなかっただけではないでしょうか。蛇足ですが、その方はサムスンはマーケティングだけで中身(技術)はないとも言ってましたね。当時と状況は変わっているでしょうが、今でも思い出します。(2016/06/09 09:42)

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