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外資系で働けない人の5つの特徴

気を付けなければいけない勘違いの実態

2016年6月23日(木)

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 6月9日のコラム「サムスン移籍で実感した人材流動の重要な意味」では、企業と個人のマッチングの重要性と日本における人材流動の必要性を論じた。ここで言う人材流動とは、何も海外に渡ることだけを意味しているのではなく、むしろ国内間での人材流動の必要性を述べたものである。

 前回のコラムのコメントの1つとして、日系の電機業界数社が数千億円の大赤字を計上したのは、韓国へ渡った日本の技術者が技術を流出させたからでは、という意見をいただいた。もしこの意見にあるように日系企業の業績に大きな影響力を与えたのであれば、人材が韓国に渡らないように引き留める求心力を企業内に強化するか、あるいは人材が国内で流動できるような受け皿を提供することが必要となるであろう。

 はたして1社で10万人もいるような電機業界において数十人レベルで移籍することが、数千億円もの赤字を生み出すほどに影響力があるのだろうか。そんなことはないだろう。経営戦略を間違えて企業競争力が低下し、その結果、構造的赤字経営が続くことで、事業撤退あるいはリストラという措置の下で技術者が居場所を失い、しかも国内での受け皿がなく、結果として海外に渡るというケースが真実のところである。

 その因果関係の順番が違うということだ。結果として、渡航先での事業が進展するという原因と結果のプロセスを正確に理解する必要がある。日本で多くの人達と意見交換すると、年配者になるほど誤解している人達がとても多く、逆に若者は客観的かつ冷静に受け止めているという違いがある。

 もし仮に、それほどの影響力がある数十人と他の10万人の比較で、企業が大きく傾くという論理ならば、10万人の役員や社員の能力が疑われる。

 それでも、もしそういうことが仮にあり得るとしたら、対価を払って処遇してでも引き留める工作が必要だ。大体、このようにして海外に渡るケースは、自身の居場所や立ち位置が狭まることで活躍の場を移しているのだから。悲しいことに、そういう人材の受け皿が日本になかったというのが最大の問題である。

 ならば日本も海外の優秀な人材を積極的に採用し、巨額赤字を生まないような経営戦略に出るべきである。ところが、これができない日本が人材流動の低さを象徴しているのである。もっとも、海外から人材を採用すれば経営上の課題が解決できるという保証はないが。

 有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の研究開発や事業化を断念した国内企業は複数社あった。日本で世界に先駆けて実用化するという気概、すなわち、この技術に命をかけてきた有能な技術者にとって、活躍の場を失ったことで、サムスンなど他企業へ籍を移すというのは自然の流れだ。活躍の場を失った人材の気持ちに立ち返って見る客観的な観察姿勢が欠けている。当事者的立場になって考えてみてほしいものだ。

 逆の事例を挙げれば、国内電池業界が絶好調な2007年頃までは、電池事業でトップを走っていた三洋電機からサムスングループへ移籍する人材はほとんどいなかった。業績が良ければ移籍する必要もないはずだ。

 しかし日本の電池産業に暗雲が垂れ込めると、途端に人材の流動は起こるのである。日韓の技術の差は縮まり、ましてや韓国企業の積極的なマーケティングに対しても慢心している日系企業が、グローバル競争で勝てる訳もないのである。

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「外資系で働けない人の5つの特徴」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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