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見通しが立たない東芝と絶好調サムスンの違い

経営戦略の差がもたらす産業界の命運

2017年7月13日(木)

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サムスン電子は、スマホの最新モデル「ギャラクシーS8」の発表を春に大々的に行った(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 6月26日の日本経済新聞に、2016年の世界の「主要商品・サービスシェア調査」をまとめた記事が掲載された。その中で、市場シェア首位が交代した8品目が紹介されていた。自動車では米ゼネラル・モーターズから独フォルクスワーゲン(VW)に、白色LEDでは日亜化学工業から台湾の晶元光電にトップが代わり、そしてリチウムイオン電池(LIB)では韓国サムスンSDIがパナソニックに首位を明け渡した。

 サムスン電子が16年秋に起こした「ギャラクシーノート7」のリコールの影響で、搭載されていたサムスンSDIのLIB供給にブレーキがかかった一方で、パナソニックは米テスラの電気自動車(EV)でのビジネスを拡大し、シェアを22.8%に上げ、サムスンSDIに2%の差を付けて首位を奪回した。シェアのデータには、各社が鎬を削る中での攻防が垣間見れる。

 今回は、グローバルに競争が激しくなる中で、日本の経営陣に求められることを考えてみたい。特に、明暗を分けている東芝とサムスンの違いに踏み込んでみる。

日本への残留が全てではない

 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ったシャープは業績を向上させている。そのシャープは6月30日に東京証券取引所の第2部から第1部への変更を東証に申請したと言う。2017年中に1部復帰を目ざしているとのことだ。

 このことは、シャープが長い期間大きな赤字経営を強いられてきた中で、経営陣を大幅に入れ替え、ホンハイの経営陣主導で構造改革が進められた成果と考えられる。裏返せば、「シャープの元経営陣は、これまで一体何をしてきたのか?」という疑問にかられる。

 結局、抜本的なことは何もせず、ホンハイの傘下に下ったのだが、リスクを大きく捕らえて革新経営ができなかったことに原因があったのだろう。リスクをとらない経営が、大変なリスクを生じることを物語っている。

 シャープの株価は上昇傾向にあり、東証は6月21日に上場廃止の猶予期間入り銘柄から解除した。戴正呉社長の強力なリーダーシップの下での経営が成果を上げていると評価された結果である。

 日本の企業が海外企業の傘下に入ったとしても、経営が健全になれば、そこに働く社員にとっては嬉しいことだ。とかく、企業や事業を売却する際に、日本に留めておくことを第一優先にするという典型的な日本の方針が必ずしも正しいとは限らないことを意味している。それよりも、シャープの日本の元経営陣と台湾の新経営陣の差が、どうしてこんなに違うのかを分析することで、日本的経営の問題を浮き彫りにする教材となり得るだろう。

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「見通しが立たない東芝と絶好調サムスンの違い」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授