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ソニー、日産の電池事業撤退の裏にあるもの

混迷する日韓電池業界、存続かけた各社の選択

2016年8月10日(水)

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ソニーは7月29日に開催された2016年度第1四半期決算会見において、電池事業を村田製作所に譲渡することで協議中であることを発表した(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 7月28日のコラム「サムスンのBYD出資は中国市場成功への布石?」では、中国BYD(比亜迪)に出資を決めたサムスングループの置かれている状況と今後の展望について執筆した。そこには、同社が中国政府から車載用電池のメーカーとして指定されていない問題に絡んだリスクを論じた。この施策には、明らかにサムスングループの焦りが見え隠れする。

 サムスングループには追い打ちをかけるような話であるが、台湾紙「旺報」7月28日付の記事によると、上海では新エネルギー車の累計販売台数が増えるにつれ、補助金を減額する制度を導入しているとのこと。それまで、新エネルギー車の販売を順調に伸ばしてきたBYDだが、この制度によってエコカーに対する補助金が減額されており、上海での販売が急減している模様と報じている。

 上海ではBYDの新エネルギー車に対しての補助金が1台当たり2万元(1元=約15.4円)減額されたという。これで受給できる補助金は1台当たり1万元になったとのこと。現在、販売累計4万台まで迫っているが、4万台に達すると、さらに5000元減額するという。

 そして上海では、累計6万台になった時点で補助金の支給を打ち切るという。同紙によると、この補助金減額の影響で、上海におけるBYDの新エネルギー車販売は急減し、16年上半期は4000台の販売にとどまっているという。市場シェアで首位だったBYDが、上汽集団にその座を譲ったとも報じている。

 中国政府は2020年まではエコカーに対する補助金政策をうたっている一方、上海ではすでに減額制度も導入していること、そして21年には補助金制度自体がなくなることを考慮すると、エコカーの急減速は避けられないのではないか。いわゆるエコカーバブルがはじけることが想定される。電池事業も、その余波をまともに受けることになるだろう。

 そうなると、サムスングループのBYDへの出資の意義や効果が大幅に薄れそうだ。前回のコラムでも、出資リスクを述べたが、上海の事例を勘案すればするほど、そのリスク度は高まる方向にあるようだ。

 一方、先のコラムの直後、7月29日にはソニーが電池事業を村田製作所に売却譲渡することを発表した。そして立て続けに連鎖するかのように、日産自動車がNECと合弁で設立したオートモーティブエナジーサプライ(AESC)を、売却する検討を始めていると報道されている。

 しかし、ソニーの件もAESCの件も唐突にわき出た話ではなく、このような状況に陥らないような次善の策を描くプロジェクトが、2013年には本格的にスタートしていたのである。

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「ソニー、日産の電池事業撤退の裏にあるもの」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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