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日韓電池業界に立ちはだかる中国の価格攻勢

液晶業界の二の舞を演じないために

2015年9月10日(木)

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 9月4日、札幌市にて一般社団法人・電池工業会の正会員と賛助会員の合同会議が開催された。正会員は電池を製造販売する企業16社、賛助会員は電池業界に関連する企業84社から構成されている。今回の賛助会員の参加者は64社から97人を数えた。

 毎年、札幌をメイン会場として開催されているこの会議には、電池メーカーをはじめとして電池業界に直結している材料メーカー、装置メーカー、計測機器メーカーなど広く産業界から参加している。

 約130人が出席した本会では、電池業界の現状と今後の展望について情報が共有された。現在の電池工業会会長は、ジーエス・ユアサコーポレーションの会長でもある依田誠氏である。電池工業会のような産業界の組織体は多々あるものの、中でも電池工業会は参加企業が増えていく傾向にあり、他の工業会よりも元気があることを依田会長は報じた。

 また、現在のエネルギー自給率は、米国の85%、イギリスの61%、フランスの53%、ドイツの40%などに対して、日本はわずか6%ということである。原子力発電のほとんどが停止していることで、自給率が大幅に低下している中、電池システムが市場に浸透するビジネスモデルが大きな期待を担っていることも報告された。

 それだけに、再生可能エネルギーで発電した電力は蓄電システムとの連結によって電力エネルギーを最大限に活用する必要がある。電池産業界としても、そのニーズに応えるべくビジネスモデルの構築が喫緊の課題である。いずれにしても、電池産業は多くのアプリケーションとビジネスモデルが拡大しており、日本にとって重要な産業であることに変わりはない。

電池工業会と韓国企業との交流

 ちなみに、依田会長の前任会長は三洋電機で副会長を歴任し、現在はジャパン・ディスプレイの会長を務める本間満氏であった。

 本間氏が電池工業会の会長だった2008年当時、筆者はサムスンSDIの中央研究所に勤務していた。モバイル用リチウムイオン電池(LIB)が、あちこちで品質問題や事故等を多発していた直後の事である。安全性評価試験をクリアーしているのに事故が起こっていることを問題視した業界は、電池工業会が中心になって評価試験を見直すことにした。

 結果として、再現性と信頼性が高く、品質スクリーニングしやすい試験法が確立され、08年11月には電気安全法に組み込まれて成果を上げることになる。同じ時期に、電池工業会の幹部から「この試験法を韓国との協業で国際標準にしたい」と、韓国で勤務していた筆者へ連絡いただいた。

 もっとも、その前にサムスングループとしては、当時のサムスン横浜研究所(現:サムスン日本研究所)が窓口となって賛助会員となっていた(韓国の法人企業は賛助会員になれないため)から、話を受ける必然性もあったわけだ。

 「日韓は、リチウムイオン電池の市場シェアで競合関係にあるが、業界の安全性・信頼性を築く上での国際標準は競合関係を超えて協業をすべき」と返答し、そこから日韓の交流が始まった。

 韓国では、サムスンSDI、LG化学、SKイノベーション、現代自動車、それに国の研究機関がメンバーとなり、日本の電池工業会との意見交換交流会が始まった。やがてこの関係が進展したことで、今では日本の電池工業会と韓国の電池工業会は良好な関係で意見交換している。間に立って両者の関係構築を図ってきた筆者にとっては、思い出深い出来事である。

 筆者がサムスンSDIを2012年末に退社した後も、サムスン日本研究所の他のメンバーがこの電池工業会の総会に出席してはいた。しかし昨年、サムスン日本研究所は賛助会員を退会した。詳しい理由は分からないが、会員であれば同業他社との交流、部材メーカーや評価計測装置メーカーなどとのビジネス協議、国際標準化への対応法案など、様々なことが共有でき、実行に移せる機会もあると思うのだが。

 「会員になっていて何がメリットなのか?」と、短絡的かつ否定的に考えれば、その意義は見えづらい。会員でいることの特権で、国を越えてのいろいろな意見交換もできるし、ビジネス拡大のチャンスを作ることが可能でもある。残念ながら、近視眼的、かつ刹那的な会員であるだけでは、その意義を考えられず、メリットと機会は消失する。

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「日韓電池業界に立ちはだかる中国の価格攻勢」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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