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爆発などで大荒れの電池業界、勝敗の行方は?

生き残りに必須となるいばらの道

2016年10月27日(木)

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 サムスン電子のスマホ「Galaxy Note7」の爆発・火災から2カ月が経過するが、爆発・火災の原因についてはいまだに何の説明もないままである。そんな折、10月22日の日本経済新聞に、「サムスン電子がスマホ向けリチウムイオン電池(LIB)を韓国LG化学から調達する検討を始めた」と報道された。

 これまでLIBは、サムスンSDIとTDKの子会社であるATL(Amperex Technology Limited)の2社からの調達であった。ところが、来年サムスン電子が発売するスマホの新機種には、LG化学のLIBを搭載する可能性があると報じたのだ。

 モバイル用LIBと車載用LIBのいずれも、サムスンSDIにとってはLG化学が最大のライバルの1つ。そのライバルのLIBがサムスン電子のスマホに採用されれば、サムスンSDIにとっては大きな屈辱といえる。サムスン電子にしてみれば背水の陣の対処と映る。

 しかし、サムスン電子が来年の新機種にどのメーカーのLIBを採用するにしても、今回のスマホ爆発の原因を明確にし、それに対する解決策を消費者や関連部材メーカーにしっかり説明する責任があることに違いはない。同時に、サムスン電子はパーツを採用する側として、LG化学のLIBなら大丈夫であることの説明も問われることになる。今後の明確な論理の発信を期待したい。

 一方で国内の電池事業の動きでいえば、ソニーの電池事業は基礎研究の上流からまるごと村田製作所へ移管される運びである。従来のビジネスモデルを村田製作所が踏襲するだけでは、収益性の乏しいソニーの電池事業を超えることはできない。村田製作所ならではの強みを生かしたビジネス戦略が問われる。

 電池業界では、上記のモバイル用のみではなく、エコカー用、そして家庭用蓄電でも大きな動きがグローバルに展開されつつある。揺さぶり、振り落としなども行われ、電池業界は激動の状況下におかれている。

オートモーティブエナジーサプライの行く末は

 そんな中で、日産自動車とNECの車載用LIB共同出資会社であるオートモーティブエナジーサプライ(AESC)を、親会社の日産自動車が売却すると発表してから2カ月が過ぎた。なかなか売却先が決まらない。

 国内の自動車メーカーが取り込む可能性がまずない中、国内の電池業界はどうであろうか? パナソニックにしてもジーエス・ユアサコーポレーション(GSY)にしても、個々にトヨタ自動車およびホンダと車載用電池事業を運営している中では、既存事業をいかに収益性の高いものにしていくかが最大の課題である。そこにAESCを取り込んでもビジネスモデルが複雑になるだけでシナジーは出しづらい。

 そうかと言って、東芝や日立も電池事業の存続をかけて既存電池系でのビジネスモデル構築と拡大が鍵になっていて、これまたAESCのメインプロダクトである車載用パウチ系LIBを取り込んだところでメリットはほとんどないであろう。

 AESCの国内残留シナリオの1つとして、村田製作所が取り込むことがあれば、それなりの意味があるかもしれない。村田製作所にしてみれば、自動車業界とのビジネス拡大を標ぼうしている中で、車載用電池事業の獲得はそれなりに意味がある。ましてや、ソニーの電池事業を買収することを決断した村田製作所にしてみれば、モバイル用と車載用LIB事業を一手に取得することになる。

 過去を振り返れば、2013年に産業革新機構が主導したソニーと日産、NEC、およびAESCの電池業界再編劇があった。筆者もそのプロジェクトの片棒を担いだ側からしてみれば、正にその組み合わせが村田製作所において実現されることになるのだから、決して不思議なストーリーではない。

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「爆発などで大荒れの電池業界、勝敗の行方は?」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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