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タカタのリコールに思う発見時の対応の重大さ

問われる信用、企業の存続を危うくすることも

2015年11月26日(木)

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 独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正事件が、相変わらず世間を賑わせている。その一方で、タカタのエアバッグ不具合による大リコールも、企業の存続を揺るがしているという点では共通だろう。大手自動車メーカーが、タカタが生産している硝酸アンモニウムのインフレ―ターを用いたエアバッグの適用を見送るとし、業界に衝撃が走っている。

 日本において、市販車にエアバッグが採用されたのは、1987年にホンダが発売した「レジェンド」が最初だった。ホンダでエアバッグの研究が始まったのは1971年。16年の開発期間を経て適用されたことになる。研究開発を長年リードしてきた人物は元経営企画部長の小林三郎氏だった。当時、エアバッグは「猫またぎのテーマ」と社内で揶揄されるほど、研究開発に関わりたくないテーマの代表となっていた。

 しかし、創業者の本田宗一郎氏が「人の安全を確保する技術は社会的にとても重要なテーマだ」と発したことで、小林氏の開発魂と情熱に火が付いたという。20年近くもかけてゼロから技術を確立する姿勢はホンダのDNAである。

 長期間の自前開発は、韓国サムスングループには見当たらない文化だ。それもそのはず、人事異動が激しく、さらには途中入社や退社で人材が流動するサムスンにおいて、長期にわたる研究開発テーマはリスクでもあり得る。すなわち、昇進を最大目標とするサムスン人にとっては条件的に不利に働くことになるからだ。

 ホンダのエアバッグの実用化は、タカタとの共同開発によるもの。日本の自動車業界で初という成果は、タカタの協力なしでは実現できなかったと言える。

 そういうホンダが、タカタからの調達を取り止めると発表したから、事は重大だ。同様に、トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、マツダも追随する形で調達を取り止める。ホンダを含めた自動車業界の決断は、タカタにとって死活問題にも及ぶ。

 各社がこのような表明をした後に、日産自動車の発表は追い打ちをかけた。11月2日に静岡県内で同社のエクストレイルがトラックに追突した時に、タカタ製の助手席エアバッグが異常破裂し、助手席の女性が軽傷を負ったことを明らかにしたからである。

 異常破裂があったこの車は、5月にリコール対象となっていた。そして8月に点検を受けていたものの、優先度が低いとの理由で部品交換までの対応がとられていなかったという。

 国交省によると、国内ではこれまでにエアバッグの欠陥が原因と断定された負傷例はなかったという。タカタ製エアバッグ問題で、国内での走行中の異常破裂は6例目となる。

 同問題で8月までにリコールの届け出があった977万台の改修率は、9月末時点で約52%にとどまっているようだ。国土交通省は、リコールの方案見直しを自動車各社に指示する検討を始めているとのことだ。

ホンダの決断はタカタに試練

 ところでホンダの決断は、タカタの調査報告書に不具合があったとしたことに端を発しているとしている。その報告書の記載がどうなっていたかは明らかにされていないが、単なる調達関係ではなく、出資もしながら長年の協業関係を築いてきたホンダも責任と問題があるはずだ。

 さかのぼれば、米国で発生したエアバッグによる死亡事故は、2009年に発生していた。初動対応が遅れたホンダにも批判される余地があった。そして事が大きくなってから本格的な調査や対応を進めているものの、ホンダがタカタの不具合を見抜けなかった品質保証問題は責任として残存する。

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「タカタのリコールに思う発見時の対応の重大さ」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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