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英国はEUから離脱しない?

離脱撤回や離脱後再加盟のシナリオ無視できず

2018年2月13日(火)

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「シティー」の特別扱いを望むが、つれない態度のEU

 また、ロンドンにシティーという金融センターがあるため、英国は金融サービスについて、EUとのFTA交渉で特別扱いを望んでいる。だが、EUは今のところつれない。

 こうした「いいとこ取り」的な英国の姿勢を、EUの多くの国は快く思っていない。マクロン仏大統領は1月18日、訪英してメイ英首相と会談した後の記者会見で、英国がEU離脱後に、ノルウェーのようにEU非加盟国でありながら労働者の移動の自由やEU予算分担金などを受け入れることで単一市場へのアクセスを確保したいのか(ノルウェー方式)、それともカナダのようにEUとFTAを締結するにとどめて単一市場へのアクセスも限定的な内容でがまんするのか(カナダ方式)、決めるのは英国自身だと突き放した。

 英国およびEU加盟各国の議会で最終合意の内容を審議し批准する手続きに時間が必要であるため、移行期間に関する交渉のリミットは今年10月頃とみられている。

 だが、このリミットまでに交渉が決着するかどうかは予断を許さない。EU離脱問題で、メイ内閣は強硬派と穏健派の双方を抱えており、閣内不一致に近い状態である。メイ首相本人は意気軒高だが、政治的リーダーシップは発揮されにくい。

離脱しても、早期に再加盟することになるかもしれない

 今年1月にスイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加したメルケル独首相はオフレコの記者会見で、EUとの交渉におけるメイ首相の主体性のなさをジョークのネタにしたという。メルケル首相が「EUとの将来の関係をどうしたいのか、何を求めているのか」とたずねると、メイ首相は「あなたから私に提案しなさい」と返答。メルケル首相が「でも、あなたが離脱するのだから、私たちがあなたに提案する必要はない。さあ、何が欲しいのか」と重ねてたずねると、メイ氏は「あなたから私に提案しなさい」と言うばかりで、このやり取りが延々と繰り返される「ループ」状態に陥ってしまったという。

 どのような事態の推移を経てからそうなるのか、具体的なイメージは固まっていないものの、英国のEU離脱は結局起こらない、あるいはいったん離脱しても早期に再加盟することになるのではないかと、筆者はみている。

 国民投票でEU離脱に票を投じた人の中には、後悔している人が少なくないようである(後悔を意味する「リグレット」と「ブリテン」を合成して「ブリグレット」と呼ぶらしい)。EUからの離脱を主張する政治家が正しくない情報を前面に出して、きつい言い方をすれば有権者を「だました」ことも、すでに明らかになっている。また、EUに残留した場合よりも離脱した場合の方が英国が経済的にかなり損をすること、EUとの貿易面の交渉がうまくまとまらずハードランディング的に離脱する場合の甚大なダメージも、時間の経過とともに意識されるだろう。

コメント9件コメント/レビュー

安全な国に手厚い保護の下に住めるのだから、難民は命を懸けても、やってくる。これを止めるのは、単純なことだ。難民の国に、安全な地帯を作るしかない。(2018/02/17 13:25)

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「英国はEUから離脱しない?」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

安全な国に手厚い保護の下に住めるのだから、難民は命を懸けても、やってくる。これを止めるのは、単純なことだ。難民の国に、安全な地帯を作るしかない。(2018/02/17 13:25)

通商条約は、相互に利益をもたらすから結ぶものだと思うのだが、EU 加盟はそういうものでないらしい。
相互に利益があれば、EU 離脱しても、通商条約をほぼ維持することになるのが、合理的な判断となる。
離脱に制裁まで仄めかす EU 主義者は、理解に苦しむし、そんな集団なら離脱するのが正確としか思えない。(2018/02/17 11:22)

今から40年ほど前になりますが、ロンドンの家庭の夕食の時の話です。「英国では牛肉ばかり食べているのでは・」「いいえ、牛肉は高くて、もっぱらマトン、鳥が普通です、牛は週一くらいです。」
「昔は、英連邦から安く牛など入っていたのですが、ECに加盟してから、大陸(欧州)から買わないといけないそうで、困ったものです」・・・・
 一般家庭は、決してEC加盟を喜んでいませんでした。(当時のマスコミは英国のEC加盟で万々歳でしたね)
 今回も、マスコミ関係者は相変わらず、金融関係者やグローバル企業の話ばかり聞いているようで、一般人の気持ちが見えません。英国離脱を予想した私は、今も英国人の一般の気持ちは離脱に向いて進んでいると思います。「お国の国会が北京で、裁判所がソウルでいいのですか?」
 島国英国は、最も日本とよく似た国民性があります。(2018/02/16 10:40)

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