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マイナス金利が招く「財政規律の緩み」

2016年4月5日(火)

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(写真=AP/アフロ)

 日銀が1月29日に導入したマイナス金利は、収益圧迫懸念増大から銀行株の急落に結び付いたほか、消費者のマインドを「守り」に追いやるなど、負の側面がクローズアップされている。この政策は少なくとも初期段階では失敗に終わったとみる向きが、市場では多い。

 日本(さらには米国や欧州)の長期金利のレンジを押し下げるという点においては確かに、日銀のマイナス金利は大きな効果を発揮している。日本の債券市場では3月下旬、40年債を含むすべての年限の国債の利回りが0.5%を下回る日が複数あった。

 だが、そのことが住宅投資や設備投資の「起爆剤」になるとは、到底考えられない。もともときわめて低い水準となっていた長期金利が追加的に低下することによる刺激効果は、ごく限られたものにとどまる可能性が高い。

 住宅市場では分譲マンションを中心に、庶民の手が届かないところまで高くなってしまった物件価格という強い逆風が吹いており、これはローンの月々の支払額の軽減とはグレードの違う話である。また、設備投資では、人口減・少子高齢化の進行による国内消費市場の長期的な縮小見通しに変わりがない以上、企業が国内で設備投資を本格展開するための前提条件が成り立っていない。

「景気対策の規模は10兆円ぐらいあったほうがいい」

 ここでもう1つ、決して見逃してはならないマイナス金利の副作用が、最近目立っているように思う。それは、財政規律の緩みである。景気下振れリスクや、上海で開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での景気刺激に関する合意を大義名分にして、日本は財政政策を積極的に使って景気を刺激すべきだ、さらには2017年4月に先送りされている10%への消費税率引き上げを再延期すべきだという主張が、政府・与党内などで広がっている。

コメント7件コメント/レビュー

物価や国債の金利がマイナスという状況下においての「財政規律の緩み」や「将来へのツケ」の定義をお願いいたします。
放漫財政は(生産能力以上に需要が高まるため)インフレや金利の上昇を招き、市場を混乱させ、その結果本来あるべき生産能力まで毀損するので問題であると認識しています。
現在の日本の問題は、「生産能力と比較して需要が少ない」という状況にあり、その結果のデフレ状況であると認識しています。
この状況下においては、金融政策と財政政策のパッケージでデフレを脱却し、投資や消費が必要以上に加熱してきた時点(例えばインフレ率3%など)で金融引締めや増税(消費税増税など)を行えば良いだけではないでしょうか?
上野さんの提案通りに政策を実行した場合、デフレが継続し、生産年齢人口の減少も相まって、結果生産能力が毀損し、食料や生活必需品を輸入に頼らざるを得なくなり(所得収支のあがりで上級国民は贅沢な暮らしが可能でしょう)、資本は海外に逃げ、国内での雇用が壊滅する・・・なんて最悪なケースも考えられるわけです。
私はこの状況こそが「将来世代へのツケ」だと考えています。
政府の借金なんて、日銀が国債を買い取って相殺すれば存在しないレベルの話なのですから・・・(その結果、上記のインフレや金利が上昇する可能性がありますので、それを見極める必要はある)
いずれにしても、過去に失敗して「失われた20年間」を作り出したような政策の継続を訴えることは愚かな事です。
政府や経済の本来の役割は、「儲ける(借金を減らす)」ことではなく、「人を幸せにする」ことなのです。【あん肝】(2016/04/06 09:31)

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「マイナス金利が招く「財政規律の緩み」」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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物価や国債の金利がマイナスという状況下においての「財政規律の緩み」や「将来へのツケ」の定義をお願いいたします。
放漫財政は(生産能力以上に需要が高まるため)インフレや金利の上昇を招き、市場を混乱させ、その結果本来あるべき生産能力まで毀損するので問題であると認識しています。
現在の日本の問題は、「生産能力と比較して需要が少ない」という状況にあり、その結果のデフレ状況であると認識しています。
この状況下においては、金融政策と財政政策のパッケージでデフレを脱却し、投資や消費が必要以上に加熱してきた時点(例えばインフレ率3%など)で金融引締めや増税(消費税増税など)を行えば良いだけではないでしょうか?
上野さんの提案通りに政策を実行した場合、デフレが継続し、生産年齢人口の減少も相まって、結果生産能力が毀損し、食料や生活必需品を輸入に頼らざるを得なくなり(所得収支のあがりで上級国民は贅沢な暮らしが可能でしょう)、資本は海外に逃げ、国内での雇用が壊滅する・・・なんて最悪なケースも考えられるわけです。
私はこの状況こそが「将来世代へのツケ」だと考えています。
政府の借金なんて、日銀が国債を買い取って相殺すれば存在しないレベルの話なのですから・・・(その結果、上記のインフレや金利が上昇する可能性がありますので、それを見極める必要はある)
いずれにしても、過去に失敗して「失われた20年間」を作り出したような政策の継続を訴えることは愚かな事です。
政府や経済の本来の役割は、「儲ける(借金を減らす)」ことではなく、「人を幸せにする」ことなのです。【あん肝】(2016/04/06 09:31)

今回コラムもマイナス金利に対する「日銀恨み節」(銀行株の下落)から始まった。詳しく調べていないが、借入金の多い業種や住宅投資関連では株価にプラスの影響が出ている企業もあるのでは?日銀短観では「借入金利水準判断DI」が大きく低下しており」、金融緩和効果による住宅刺激や不動産の資金調達でのプラス効果は早々に現れていると指摘されている。株価が下落した銀行も、金利収益は減収だが、保有国債の値上がりで売却益が増加するので、トータル収支はプラスとの見方が一般的だ。

・今回の主張へ反論は、クルーグマン氏の指摘を参考に――アベノミクスは「やらない方が良かった」のではなく、「やり方が不十分・不適当(14年消費税率引上げ)だったので、十分な成果が出ていない。今度は財政も使ってデフレ脱却を目指さなければならない。デフレの循環を断ち切ることが最優先課題であるべきで、向こう2~3年は財政の均衡は大した意味を持たない」となる。デフレ脱却に失敗すれば、結果的にトータルコストが膨れ上がり、将来世代の負担は大きくなるという見方の方が合理的だと思う。

・今回も図表を使った説明が少なく、内容も朝日新聞的でした。(2016/04/05 15:30)

感想など何点か

・今回コラムもマイナス金利に対する「日銀恨み節」(銀行株の下落)から始まった。詳しく調べていないが、借入金の多い業種や住宅投資関連では株価にプラスの影響が出ている企業もあるのでは?日銀短観では「借入金利水準判断DI」が大きく低下しており」、
金融緩和効果による住宅刺激や不動産の資金調達でのプラス効果は早々に現れていると指摘されている。株価が下落した銀行も、金利収益は減収だが、保有国債の値上がりで売却益が増加するので、トータル収支はプラスとの見方が一般的だ。

・今回の主張へ反論は、クルーグマン氏の指摘を参考に――アベノミクスは「やらない方が良かった」のではなく、「やり方が不十分・不適当(14年消費税率引上げ)だったので、十分な成果が出ていない。今度は財政も使ってデフレ脱却を目指さなければならない。デフレの循環を断ち切ることが最優先課題であるべきで、向こう2~3年は財政の均衡は大した意味を持たない」となる。デフレ脱却に失敗すれば、結果的にトータルコストが膨れ上がり、将来世代の負担は大きくなるという見方の方が合理的だと思う。

・今回も図表を使った説明が少なく、内容も朝日新聞的でした。(2016/04/05 15:29)

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三品 和広 神戸大学教授